合格者体験談

虎バン実況アナの教採合格奮闘記 第3回 対峙 〜4カ月間のラストスパート〜

タイガース戦や夏の甲子園大会の実況を務めるなど、朝日放送のアナウンサーとして活躍していた清水次郎さん。2016年夏の教員採用試験に合格し、2017年4月から高校の教師として教壇に立たれます。教師を目指した経緯、教職への思いなどを計4回にわたって語っていただきます。

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清水 次郎 元朝日放送アナウンサー
1971年東京都狛江市出身。早稲田大学第一文学部卒業後、朝日放送に入社。阪神タイガース戦をはじめ、スポーツ実況等を担当。2016年6月に退社後、兵庫県の教員採用試験に合格。2017年春から高校の地理歴史科教諭として赴任予定。

 

仕事で多くの夢を見させていただいた朝日放送を退社したのは2016年の6月でしたが、実際の業務は3月末で終了しました。寝坊や遅刻で迷惑をかけた新人時代から見捨てずに指導してくださった先輩方、暑苦しい性格の私と一緒に成長の道を歩んでくれた後輩たち、アナウンサー人生のほぼ全てを一緒に過ごした社内外のスポーツ関連現場の皆さん…。そうした方々とのお別れに加え、タイガースの選手や甲子園球場、高校野球の熱闘から離れる寂しさもありました。でも、周囲に迷惑をかけてまで自分で決めた道。感傷的になっている場合ではありません。すでに仕事の合間を縫って試験勉強はしていましたが、いよいよ4月からは、7月末の1次試験に向けて本格的な対策を始めました。

父親が仕事へ行かず、ずっと家にいるので、子供たちは一緒に遊べると思ったようです。ところが実際には、勉強、勉強と言って部屋にこもろうとする上に、時には余裕のなさからつれない態度をとることも…。そのため、当時5歳の長男には相当なストレスをかけてしまい、時には家庭内の空気がおかしくなってしまうこともありました。

そうした状況に加え、もともと集中力が長続きしないタイプだったこともあり、育児や家事など勉強以外の時間も、適宜織り交ぜるようにしました。とはいえ、長男が大好きなレゴで一緒に遊ぶ時などは、ふと「この大事な時期に、レゴの小さな部品を探して箱の中をかき回していていいんだろうか…」と思い、不安になったものです。

もちろん、日中も喫茶店や自宅で勉強はしていましたが、最も集中して打ち込めるのは、家族が眠っている深夜や早朝4時頃からの時間帯でした。夜明けの時間帯は世の中全体が静かで集中しやすい上に、「俺はこんなに早く起きて勉強している」という妙な自己満足(笑)や高揚感もあって、勉強がとてもはかどりました。

ところがそんなある日の深夜に、網戸の外から荒々しい息づかいが聞こえてきました。しかも、それがだんだんと近づいてくるではありませんか!不気味に思って身を固くしていると、息づかいに交じって「ブヒッ」という音が。そっと覗いてみると、近所に時々現れるイノシシの親子が、えさを求めて人気のない住宅街をさまよっていたのでした…。

ご存じのように、教員採用試験は専門教養、教職教養、一般教養の3本立てになっています。私が受験する高校の地理歴史科(専門教養)は範囲が非常に広いのですが、世界史と日本史は好きな教科であることと、将来の自分の授業に役立つものなので、自然と力が入りました。高校の教科書を読み込んだ後、大学受験用のB5判・厚さ1.2cm前後の、多すぎない分量(全部こなせなかった時にひどく焦ると思ったので)の問題集を繰り返し解き、少しずつでも点数が上がったというささやかな達成感をご褒美に、気持ちを高めていきました。さらに予備校が出版しているコンパクトサイズの一問一答集で知識の定着を図り、年号は自分なりに語呂合わせを作るなどして記憶し、兵庫県の過去問で実力を測りました。地理は、地形図の問題が毎年出されていたのでそこに重点を置くと同時に、『データブック オブ・ザ・ワールド』などの統計資料で、主な食糧や鉱物資源等の輸出入量や世界のランキングなどを把握するようにしました。試験本番では、国ごとの新エネルギー供給量に関する問題が出て、その勉強が役立ったのを覚えています。

教職教養は、教育の素人である私が教師になる上で、しっかりと学ばねばならない領域でした。聞きなれない法律や人物名、理論等の知識を覚えるのは大変でしたが、集団面接や個人面接で問われる内容もたくさん含まれていたので、その準備も兼ねているものと考え、真剣に取り組みました。教材は参考書と問題集がセットになったものを使い、時に自分でオリジナルの小テストを作って必要事項を暗記していきました。

問題は一般教養です。過去問を見れば、漢字やことわざ、古文・漢文・現代文、英語、生活に関する知識から歴史・政治・経済、インターネットやパソコン関連、音楽や絵画、そして最も苦手な理数系に至るまで幅広く出題され、どう手を付けてどこまでやればよいのか、全くわかりません。本番までの日数も限られているので、全てを欲張るのはやめ、“一番苦手”と“一番得意”に絞って対策を練りました。次回はそんな苦肉の策のお話から、続けさせていただきたいと思います。

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