クイズで学ぶ教育法規

CASE 15 信用失墜行為

教職教養の“鬼門”とも言われる教育法規。
空欄の丸数字に言葉を入れて、ストーリーを完成させてください。

 

樋口 修資(明星大学教育学部教授、東京学芸大学客員教授)

 

解答&解説

公立学校に勤務する教員は地方公務員の身分を有することから,地方公務員法(第30 条~第38 条)により,地方公務員としての服務義務が課されています。服務義務のうち,信用失墜行為の禁止については,地方公務員法第33 条において,「職員は,その職の信用を傷つけ,又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定められています。

また,道路交通法第65 条第1項では,「何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定められており(なお,同法第2条8項・11 項では,「車両」には自転車が含まれると規定),公立学校教員が酒気帯び運転を
することは,全体の奉仕者にふさわしくない非行であり,信用失墜行為に該当するものです。

答えは,①地方公務員法,②不名誉,となります。

 

押さえておきたいポイント

第1に,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する公務員については,その地位の特殊性に基づいて一般の国民以上に高度の行為規範が要求されます。公立学校に勤務する教員は地方公務員の身分を有することから,地方公務員法上の服務義務に従うことが求められます。地方公務員の服務義務は,「職務上の義務」と「身分上の義務」に分けられます。職務上の義務とは,「職員が職務を遂行するに当たって守るべき義務」のことです。具体的には,「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」や「職務専念義務」などが挙げられます。一方,身分上の義務とは,「勤務時間の内外や職務遂行の有無を問わず,職員が地方公務員としての身分を有する限り守るべき義務」のことです。具体的には,「信用失墜行為の禁止」をはじめ,「秘密を守る義務」「政治的行為の制限」「争議行為等の禁止」などが挙げられます。地方公務員法第33 条に規定する信用失墜行為の禁止という服務義務は,勤務時間の内外を問わず,地方公務員としての身分を有する限り適用されることに十分留意する必要があります。

第2に,地方公務員法第33 条では,「職員は,その職の信用を傷つけ,又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定め,地方公務員の信用失墜行為を禁止しています。公務員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべきものであり,全体の奉仕者にふさわしくない非行により,公務に対する住民の信頼を裏切らないように信用を保つべきであるからです。道路交通法第65 条第1項に違反する酒気帯び運転は,当然,信用失墜行為になりますが,その他,具体的にどのような行為が信用失墜行為に該当するかについては,一般的な基準はなく,社会通念に基づき個々の事例に応じて判断されることとなります。

第3に,教員の行為が信用失墜行為に該当すると判断された場合,地方公務員法第29 条第1項第一号の「法令に違反した場合」,同項第三号の「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」に該当することとなり,懲戒処分の対象となります。

懲戒処分には,①「戒告」(服務義務違反の責任を確認し,その将来を戒める処分),②「減給」(一定の期間,給料の一定額を減ずる処分),③「停職」(一定の期間,職務に従事させない処分),④「免職」(職員としての地位を失わせる処分)の4つがあり,信用失墜行為を行った教員にいかなる重さの懲戒処分を選択すべきかは,任命権者が,行為の内容や程度,情状など諸般の事情を総合的に考慮してその裁量により判断できるものとされています。

 

【問題】空欄に適切な語句を記入しなさい。
1) 職員は,その職の(①)を傷つけ,又は職員の職全体の(②)となるような行為をしてはならない。
2) 職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し(③)として戒告,減給,停職又は(④)の処分をすることができる。
一  この法律……これに基づく条例,地方公共団体の規則若しくは……規程に(⑤)した場合
二  職務上の義務に違反し,又は職務を怠った場合
三 (⑥)たるにふさわしくない非行のあった場合

【答え】①信用 ②不名誉 ③懲戒処分 ④免職 ⑤違反 ⑥全体の奉仕者
⇒1)地方公務員法第33条,2)同法第29条第1項

 

関連する教育法規
■地方公務員法第29 条第1項,第33 条

■道路交通法第2条第8項・第11 項,第65 条第1項

 

Case16は、

本誌『教員養成セミナー2017年4月号』をご覧ください!

←画像をクリック

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内