『教セミ』流学習法

大学の指導教官が語る! 現役合格のために必要な周囲のサポートとは

教採で現役合格を勝ち取った人の多くは、仲間と協力し合い、周囲のサポートを上手に受けながら、学習・対策を進めています。具体的に、どんなサポートを受ければよいのでしょうか。2016年夏実施試験で多くの現役合格者を出した順天堂大学スポーツ健康科学部の客員教授・外畑幸一先生に語っていただきました。

文・德田 玲奈(編集部)

順天堂大学 客員教授 外畑 幸一 先生
1973年順天堂大学を卒業後、校長職を歴任。2012年より現職。教員採用試験合格を目指す学生の指導を行っている。

 

大学のサポート① 適切な情報・資料の提供

私たちの学部では、学生自身が集めようとしたら時間も手間もかかってしまうような、さまざまな資料を適切なタイミングで提供しています。大学3年生が本気モードになるのは、例年10〜11月頃。その頃を見計らって、各自治体の倍率情報などを収集し、分かりやすく学生にレクチャーしています。その上で、どの自治体の、どの受験区分を受けるべきか、どのように対策したらよいかなどの相談にも乗っています。さらには、本学の進路指導室の下で対策を重ねた学生が、高い割合で現役合格を果たしていることも数字で示し、「自分もやれば合格できる」と思わせるようにしています。
また、先輩がまとめた各自治体の試験情報、体験報告なども、受験生にとっては貴重な情報です。1年間どの時期にどんな対策をしてきたのか、どんな教材を使ってどのように勉強したのか、試験当日の流れはどんな感じだったのか、面接試験でどんなことを聞かれたのかなど、毎年何も言わずとも、合格者の多くが情報を提供してくれます。こうした資料は、受験生が未知の領域である教採の学習に臨む上で、とても心強いものとなります。

 

大学のサポート② 学習の場・学習ツールの提供

学生の勉強をサポートするために何かできないか── そんな思いから立ち上げたのが「JKB」という学生の学習グループです。JKBとは、「順天堂大学・教員採用試験・勉強会」の略称。受験生3〜6人でチームを作り、毎週1回、所定の時間に進路指導室を訪れ、一緒に勉強をすることになっています。参加は強制ではありませんが、多くの学生が足繁く通い、最後にはあだ名で呼び合うほど絆が深まります。
実は、こうした仲間同士のコミュニケーションや絆づくりは、教員になった後も役立ちます。教師には、管理職等との縦のつながりだけでなく、同僚教師との横のつながりも重要だからです。面接試験では、そうした協調性があるかどうかもチェックされますので、その意味でもJKBの取り組みは意義があります。参加は学年を問わず可能で、中には1年生から参加している学生もいます。
また、JKBとは別に、毎週火〜金の朝8時から50分間、「朝学習」の場を用意しています。これも参加は自由ですが、毎回多くの学生が参加しています。具体的に、「朝の10 分間テスト」を行ったり、30問程度の問題を一斉に解くなどしています。こうして朝早く起き、頭を働かせる習慣を作ることは、受験に向かう上でも、教師という仕事に就く上でも、必要なことです。
なお、朝学習などで学生が勉強する際は、姿勢・態度などにも気を付けるよう指導しています。実際の試験では、そうしたことまでチェックされる可能性があるからです。
本学部では、1次試験終了後に5日間、2次対策講座も開催しています。朝の9時から夕方の17時まで、個人・集団面接や模擬授業などの練習を、これでもかという位にみっちりと行います。これをサポートしてくれるのが、現在は教員として活躍する卒業生の面々。模擬面接で面接官役をしてもらい、現職教員として受験生の受け答えに適切なアドバイスを送ります。現職教員として活躍する先輩のサポートは、後輩の受験生にとってこの上ない励みとなります。

進路指導室で,和気あいあいと学習するJKBの学生たち。

 

大学のサポート③ 受験生の勉強意欲をかきたてる

大学では、教採を受ける学生に、教育ボランティアに積極的に参加するよう働きかけています。面接試験で質問に答える上でも、論作文試験で論述する上でも、大切なのは教育現場での経験に基づいた言葉です。学習指導も生徒指導も、現場経験がないまま語られる言葉は、どこか空虚で説得力がありません。教育ボランティアでの現職教員・子どもたちとの交流は、教師になりたいという意識を高める上でも効果を発揮します。
もう一つ、私が大切にしているのが広報活動です。本学では、「順大スポーツ」という学内広報誌を発行していますが、そこに教員採用試験の合格体験記を掲載してもらうなどしています。また、学内の掲示板には「○○県○名合格」と書かれた紙を張り出すなどして、その成果をアピールしています。こうした新聞や掲示板を目に触れる機会が多ければ、それだけ学生のやる気は高まります。また、朝学習やJKBへの勧誘も、学内の掲示板を通じて行っています。

 

大学のサポート④ 保護者への情報提供

本学部では年に数回、学生の保護者を集めての懇談会を開催しています。教職志望の学生の保護者には、そこで必要な情報を提供し、教員採用試験とはどのようなものかを知ってもらうようにしています。保護者の中には、臨時的任用教員や非常勤講師の仕事内容がよく知られていないこともあり、何年かそうした経験を積んだ後、教師になる人がいることも伝えています。
また、学生が保護者にどのようなことを求めているのかも、知っている限り伝え、適切にサポートしていただけるようにしています。
教採の合格は、大学の教官、友人、保護者など、さまざまなサポートがあってこそ、勝ち取れるものです。受験生の皆さんは、周囲に積極的にサポートを求め、仲間づくりに励んでいただきたいと思います。
本学では平成29年度から「教職の順天堂」としてさらなる充実を期して、AO入試に今までになかった新しい入試区分(教員志望選抜)を導入しました。この制度は、将来教職に就き、教育界での活躍を強く希望する学生のためのものです。第一回目となる今年度は、将来の日本の教育を担うべく、多くの優秀な学生が挑戦してくれました。4月から「教員志望選抜」の初々しい学生たちと一緒に勉強し合えることをとても楽しみにしています。

 

編集部メモ 取材を終えて
取材でお話を伺いに行った際にも、大学構内のあちこちで仲間と一緒に勉強に取り組む教採受験生の姿が見られました。雑談は一切なし。周囲のサポートがあれば、その熱意に応えようと、多くの受験生は頑張ろうとするのだということを再認識できた取材でした。

ある現役合格者の勉強の足跡

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