映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「人生の約束」

2016年/日本/120分
監督: 石橋冠
出演:竹野内豊、江口洋介、松坂桃李、優香、小池栄子、高橋ひかる、柄本明、ビートたけし 他
Blu-ray&DVD 7月6日発売
発売元:バップ
©2016「人生の約束」製作委員会

 

亡き友との果たすべき約束とは

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

最近、社会教育と学校教育をつなぐ仕事の関係で、さまざまな地域を訪問させて戴く機会があります。その際、地域独自のイベントとしての祭りや伝統的な行事がいかに人を結び付け、絆を深めるかを痛感します。どの地域にも氏神様への思いがあり、共に神輿を担ぐことの意義や価値がひしひしと伝わってきます。

この映画は、富山県射水市新湊地区で実際に約360年続く、新湊曳山(しんみなとひきやま)まつりにかける人々の思いを描いた人間ドラマです。テレビドラマ界の巨匠といわれる石橋冠の初映画監督作品でもあります。

IT関連企業のCEOを務める中原祐馬(竹野内豊)は、仕事一筋で、自分の会社を拡大させることばかりを考えている冷淡でクールな男です。そんな彼の携帯電話に、かつて一緒に起業し、意見の違いから会社を追い出した親友・塩谷航平から繰り返し着信が入ります。最後の無言電話に何となく胸騒ぎを覚え、仕事をキャンセルして彼の故郷・富山県新湊の四十物町(あいものちょう)に向かった祐馬は、そこで航平の死を知ります。町内会長の西村玄太郎(西田敏行)によると、病により余命わずかとなった航平は故郷に戻り、新湊曳山まつりをめぐって地元のために奔走していたというのです。

位牌を前に線香をあげようとする祐馬に対し、航平の義兄・鉄也(江口洋介)は、電話に出ようとしなかった祐馬に腹を立て、殴りかかります。しかし、航平の一人娘・瞳(高橋ひかる)の落ち着いた対応で、その場は何とか収まります。かつての親友・航平に一人娘がいたことを初めて知った祐馬は、航平のために何かできることはないかと彼女に問い掛けます。すると、瞳はこう言います。「西町から四十物町の曳山を取り返してほしい」と。

瞳たちの住む四十物町は、若者が外に流出し、曳き手が足りない上、維持費すら捻出できない状況に陥っていました。そんな中、資金が豊富な新興地の西町から「曳山を譲ってほしい」と言われ、町内会長の玄太郎は、「今年の曳山は四十物町に曳かせること」を条件に、譲渡を決断します。しかし、西町の会長・武田善二(柄本明)はあっさりとその約束を反故にします。航平は、死の間際まで武田のもとに足を運び、そのことを抗議していたのでした。

一方、東京にある祐馬の会社は、不正取引の疑いで東京地検特捜部から強制捜査を受けます。会社を辞職し、築き上げてきたものすべてを失った祐馬は、東京地検の依頼を受けた富山県警の刑事・岩瀬厚一郎(ビートたけし)の捜査が迫る中、祭りが間近に迫る新湊へと向かいます。やがて祐馬は自身も新湊曳山まつりに関わり、住民たちと生き生きと触れ合う中で、少しずつ自分の人生を再生していきます。

ロケでは、約700人の住人と約800人のエキストラを集めて新湊曳山まつりを完全に再現させ、13基すべての曳山を実際に出すなど、壮大なイベントになったそうです。

「曳山を曳くことは人や祖先、地域の神様とつながること。」

この言葉が、映像とともに強く印象に残る作品です。

教セミちゃんねる 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご紹介