合格者体験談

虎バン実況アナの教採合格奮闘記 第1回 挑戦 〜40歳での決断に至るまで〜

タイガース戦や夏の甲子園大会の実況を務めるなど、朝日放送のアナウンサーとして活躍していた清水次郎さん。2016年夏の教員採用試験に合格し、2017年4月から高校の教師として教壇に立たれます。教師を目指した経緯、教職への思いなどを計4回にわたって語っていただきます。

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清水 次郎 元朝日放送アナウンサー
1971年東京都狛江市出身。早稲田大学第一文学部卒業後、朝日放送に入社。阪神タイガース戦をはじめ、スポーツ実況等を担当。2016年6月に退社後、兵庫県の教員採用試験に合格。2017年春から高校の地理歴史科教諭として赴任予定。

 

はじめまして。清水次郎と申します。来春から45歳の新米高校教師としてスタートを切ることになりました。計4回の短期連載になりますが、どうぞよろしくお願いします。第1回は、1994年から民放局のアナウンサーとして22年間、プロ野球の阪神タイガース戦や高校野球の夏の甲子園の、テレビ・ラジオの実況を主な仕事としていた私が、教員を目指すことになった理由についてお話しします。

初めは、単なる憧れのような感覚でした。それも「教員に」というよりも、仕事で触れ合えた高校野球の指導者の皆さんに、感銘を受けていたに過ぎません。甲子園という一つの目標を共有して、失礼ながらずいぶんと年齢の離れた大の大人が、それはそれは真剣に10代の子どもたちと真正面から向き合っている。そのお姿を拝見して、単純に「カッコいい人生だなぁ」「あんな大人に出会えた高校生は幸せだろうなぁ」と思っていた程度です。

一方、日々の報道・ニュース等を通じて少年少女が巻き込まれる悲しい事件の数々に触れ、「何とかならないものか」「一件でも減らせないものか…」などと悶々と考える自分もいました。事件に巻き込まれた子どもたちの中には、生きる意味や喜びを持てず、自暴自棄になっている人も含まれているように見えました。被害者、時には加害者にもなってしまう彼ら(彼女ら)は、キラキラと目を輝かせた高校球児たちと同じ10代を生きながら、なぜこんなに違う道を歩んでいるのか。「彼らにばかり原因があるのだろうか」「きっと彼らにも言いたいことはあるはずだ」などと思うと、とても切なかったのです。

同時に、彼らに対しては「真正面から真剣に向き合ってくれる大人はいなかったのか」「親でも教師でも誰でもいいから、そんな大人に出会っていたら、悲しみは食い止められたのではないか」などと、勝手な想像も抱いていました。また、心のどこかに、私がそんな大人になって彼らの気持ちを受け止めることで、何か役に立つことはできないだろうか、という想いが芽生えていたのも確かです。ただ、その時点では、まだ明確に教員を意識していたわけではありませんでした。

そんな頃、「フルスイング」(2008年)というドラマを見ていて、あることを知りました。実在した方をモデルにしたそのドラマの主人公が、50代の後半から教員を目指しているではありませんか。恥ずかしながら、当時37歳だった私は、もう教員になれる年齢ではないと思い込んでいました。

調べてみると、意外にも年齢制限はそれほど厳しくありませんでした。そうなると大変です。「本気で教員を目指してみよう!」「いや今さら遅いって!」「子どもたちの声を直接聴きたいんじゃないのか!?」「でも大好きな野球の実況は辞められるのか!?」などと、心の中の葛藤が始まりました。教師になる夢が熱病のように膨らんだり、やっぱり野球の仕事が楽しくて打ち消したりしながら、しかし少しずつ、着実に、教員になりたいという想いが抑えきれなくなると同時に、ここで挑戦しないと、50歳や定年を迎える頃に間違いなく後悔するだろうという気持ちが大きくなっていきました。

結局3年ほど悩んで(笑)、最終的には、高校生みんなに、生きる喜びや生きる勇気を自分の力で手に入れてほしい、そのために自分は何に取り組み、どう輝いていけばいいのかを自分で探してほしい、またそれを手伝わせてもらいたい!という想いが膨らんで、挑戦を決意しました。日本の未来を担う子どもたちと本気で向き合い、とことん寄り添って生きていきたいという気持ちが抑えきれなくなったのです。

教育現場未経験者の理想論が、現職の方々に失笑されるかもしれないことは重々承知していますが、この想いが、夢のようだった野球実況の日々とのお別れを決断させてくれました。

さて、挑戦するためには当然、教員免許が必要です。私は学生時代に教職課程を履修していませんでしたので、文字通りゼロからのスタートを2011年に切ることになります。次回はその辺りからお話ししたいと思います。

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