教師の本棚

『たいせつなこと』

p135

マーガレット・ワイズ・ブラウン=著
2001年/フレーベル館
¥1,200+税

自分らしくあるために

柳 志穂(練馬区立大泉西小学校主任教諭)

先日、校内にある郷土資料室で、先輩の先生と昔の道具を見ていました。「この道具、何に使われていたか分かる?」と問われた私はいくつか考えられる答えを出し、その後、その先生に正解を教えていただきました。道具が何に使われていたのか、答えもさることならが、私が印象に残っているのは、その先輩の先生が言った「その物の意味を知ると、そこに価値が生まれる」という言葉でした。絵本『たいせつなこと』をあらためて読んだ時、私はこの言葉を最初に思い出しました。

この絵本は、身の回りにあるさまざまな物にとって“たいせつ”なのは何かを一つ一つ丁寧に伝えてくれます。スプーンにとってたいせつなのは…りんごにとってたいせつなのは…そらにとってたいせつなのは…と、私たちの身の回りにあるものにとって、本当にたいせつなものとは何かが書かれています。

私はよく、自分のクラスにいる児童に“考えて”行動するように話をします。何気なく動くのではなく、今なぜそれが必要で、今自分がどうすべきであるのかを考えてほしいのです。そんなことを日々考えていたところ、ある時、社会科見学でお世話になった下町の鉛筆工場の社長さんが児童に、「考え続けて生きてほしい」というメッセージをくださいました。そこには、自分が挑戦したいことやより良い生活を送るために必要なことは、日常の中にたくさんのヒントが隠されているという思いが込められています。日常生活には、何気なく生きていたら気付けないことがたくさんあるのです。

このことは、この本が一番伝えたい「あなたにとってたいせつなのは…」につながるのではないかと私は考えました。ありのままの自分でいることが一番大切であると同時に、その自分を“つくり上げる”のも自分自身だと思うのです。だからこそ、日常の一つ一つにきちんと向き合って、考えたり感じたりする必要があるのではないでしょうか。

何かに迷った時、自信をなくした時、そんな時に読みたくなる本です。そして、他の人と考え方や感じ方が違っても構わないのだと教えてくれる本です。

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