映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「orange -オレンジ-」

2015年/日本/ 139分
監督:橋本 光二郎
原作:高野 苺
出演:土屋 太鳳、山﨑 賢人、竜星 涼、山崎 紘菜 他「orange -オレンジ- DVD通常版」
DVD発売中
¥3,800+税
発売・販売元:東宝

 

“10年後の自分”から届いた一通の手紙

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

本作の映画紹介に「もしも未来の自分から手紙が来たら─もしも大切な人を失うと知ってしまったら─ 《イマ》と《未来》をつなぐ、この冬唯一の青春純愛ストーリー」とあります。いわゆるタイムスリップものですが、人ではなく手紙が未来から来るという設定です。未来からの手紙。16歳の高校2年生、高宮菜穂にある日、“10年後の自分”から手紙が届くところから物語は展開していきます。

原作は高野苺の漫画で、本作はその実写化です。『別冊マーガレット』(集英社)に連載され、一時休載後、『月刊アクション』(双葉社)に不定期連載されました。単行本が集英社から全2巻、双葉社から全5巻刊行され、2016年9月時点で470万部を売り上げ、世界9ヵ国で翻訳出版されています。世界における日本の漫画文化普及という点でも、大いに貢献している作品の一つと言えます。

人生の中で、「あの時こうなら、こうだったかも」「あれをしておけば、こうなっていたなあ」という思いは、多かれ少なかれ誰にもあるものです。それ故、「たら・れば」のストーリーが受けるのはよく分かります。しかし、“未来の自分”から手紙が届くという設定と、現在と未来が交差しながら展開するストーリーは、中・高校生のみならず、教師を目指す人たちにも共感できるものだと思います。

菜穂に届いた手紙には、これから転校してくる成瀬翔(かける)を好きになること、そして翔が1年後に死んでしまうこと、それを何とか防いでほしいことなどが書かれていました。その内容に、初めは半信半疑の菜穂でしたが、手紙に書かれたことが次々と現実になるにつれて、事実を受け入れていきます。そして、翔を救うため、そして自分の未来を変えるため、仲間とともに運命を変える物語が始まります。

ヒロイン・高宮菜穂役には、NHK連続テレビ小説「まれ」で国民的女優となった土屋太鳳。健気な16歳の女子高生役と、後悔の念を背負った26歳の女性役を演じています。そして、菜穂が想いを寄せ、心に深い傷を負う転校生・成瀬翔役には山﨑賢人。物語はこの2人と4人の仲間たちの日常や青春、10年後の複雑な思いが交錯しながら展開していきます。まるで、物語の神様が宿っているかのように思える作品です。

実は私も17歳の時に実母を亡くしています。一人っ子であった私は、中学生の頃から母のお節介なまでの愛情が重荷になり、反抗期もあって、かなりひどい言葉をかけたり態度を示したりしてしまいました。そのため、母を急病で失った後は、相当長い間、激しい自責の念を禁じ得ませんでした。そんなこともあり、翔と彼の母親との思いのすれ違いには、他人事ではない何かを感じてしまいました。

親(特に母親)はいつも大きな“壁”であり、“大地”でもあると思います。児童生徒の背後にいる親の存在は、学校教育の基板であることを常に自覚したいものです。

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内