教師の本棚

『おおきな木』

p135

シェル・シルヴァスタイン=作・絵 村上 春樹=訳
2010年/あすなろ書房
¥1,200+税

無償の愛

柳 志穂(東京都練馬区立大泉西小学校主任教諭)

クラスの子供たちを見ていると、時折、「もし自分がこのクラスにいたら、誰と仲良くして、どんな風に過ごすのだろう…」と考えることがあります。何かにチャレンジしたり、人間関係に悩んだり…。そんな子供たちを見て、自らの“人生”について考えたりするのは、さまざまな経験を経て大人になった、今の自分がいるからなのでしょう。

今回は、自身の“人生”について、改めて考えさせられる絵本『おおきな木』を紹介したいと思います。この作品は、とてもシンプルな文と絵で構成されています。大きなりんごの木は、ある少年のことが大好きでした。少年と木は、少年がまだ小さい頃から一緒に遊び、一緒に過ごしてきた間柄。少年もまた、その木のことが大好きでした。でも、少年は成長するにつれて、木の周りで遊ばなくなってしまいます。少年が「買い物をするためのお金が欲しい」と言えば、木は枝になっているりんごの実を売るように言い、「家が欲しい」と言えば、枝を切って家を作るように言い、「船が欲しい」と言えば、幹を切って船を作るように言う。そんなことが続きますが、どんな用件であれ、木は少年が訪ねてきてくれることがうれしかったのです。そうして切り株になってしまった木は、もう何もあげられなくなってしまいます。そして年月が過ぎ、少年は老人となって再び木の所へやって来ます。そして、彼が木に求めたものとは…。

この本を読んで、何を思うか誰を思い出すかは人それぞれだと思います。その人の歩んだ道のり、現在の立場によっても異なってくるでしょう。私は迷わず両親を思い浮かべました。今までどれだけ迷惑をかけ、わがままを言ってきただろうか…と。家族だからこそ許されてきたことが、数え切れないほどあるように思います。

この絵本を読み終わった後、そんな自分の姿が少年と重なり合って、少し苦しくなりました。でも、人生をやり直すことはできません。大切なのは、これからの人生をどう生きていくか。この絵本を次に読み返した時、どんな風に感じるのでしょうか。

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