クイズで学ぶ教育法規

CASE 5 性行不良による出席停止

教職教養の“鬼門”とも言われる教育法規。
空欄の丸数字に言葉を入れて,ストーリーを完成させてください。

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樋口 修資(明星大学教育学部教授、東京学芸大学客員教授)

 

解答&解説

学校教育法第35 条では,市町村の教育委員会は,他の児童に傷害,心身の苦痛または財産上の損失を与える行為などを繰り返し行う等性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは,その保護者に対して児童の出席停止を命ずることができると定めており,この規定は,中学校にも準用されています(同法第49 条)。
解答は,①市町村の教育委員会,②保護者,となります。

押さえておきたいポイント

第1に,学校教育法で定める懲戒としての停学処分と,他の児童生徒の義務教育を受ける機会を保障する観点から設けられている秩序維持のための出席停止命令の処分との違いを理解しておくことが重要です。

学校教育法第11 条では,校長および教員は,教育上必要があると認めるときは,児童生徒等に懲戒を加えることができるとされていますが,児童生徒の学習する権利をはく奪する「退学処分」や学習する権利を一定の期間制約したりする「停学処分」など「法的効果を伴う懲戒」は,校長だけが行うことができると定めています。ただし,学齢児童生徒に対しては,義務教育を受ける機会を保障する観点から,国・公・私立の小中学校等を通じて,懲戒としての停学処分を行うことはできません(学校教育法施行規則第26 条第4項)。なお,退学処分については,その後の公立学校への就学が法的に保障されている国立・私立の小・中学校では可能ですが,公立の小中学校等では認められていません(同施行規則同条第3項)。

これに対し,学校教育法第35 条第1項では,性行不良であって他の児童生徒の教育を妨げる行為を繰り返す児童生徒については,本人に対する懲らしめや制裁ではなく,学校の秩序維持と他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から,市町村の教育委員会は,当該児童生徒の保護者に対して出席停止を命じることができると規定しています。

第2に,出席停止の要件について,学校教育法第35条第1項は,「次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童」としています。具体的には,「一 他の児童に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為 二 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為 三 施設又は設備を損壊する行為 四 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為」という4つの行為類型が同条に示されています。

出席停止の措置は,国民の就学義務(学校教育法第17 条)とも関わる重要な措置であることから,懲戒としての停学処分の場合とは異なり,学校の校長ではなく,市町村の教育委員会の権限で行うこととされていることに十分留意してください。

第3に,出席停止制度の運用に当たって注意すべきことがあります。まず,出席停止の手続きについては,あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに,理由・期間を記載した文書を交付することが義務付けられています(同法35 条第2項)。また,児童生徒からの意見聴取や校長の意見具申などの出席停止の手続きに必要な事項は,教育委員会規則で定めることとされています(同法35 条第3項)。さらに,市町村の教育委員会は,出席停止を措置する場合,自らの責任の下,学校の協力を得つつ当該児童生徒に関する「個別指導計画」を策定し,出席停止期間中の児童生徒の学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講じることが義務付けられています(同法第35 条第4項)。

 

【問題】空欄に適切な語句を記入しなさい。
1) 市町村の教育委員会は,次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等(①)であって他の児童の(②)に妨げがあると認める児童があるときは,その保護者に対して,児童の(③)を命ずることができる。

2) 市町村の教育委員会は,出席停止を命ずる場合には,あらかじめ(④)の意見を聴取するとともに,(⑤)を記載した文書を交付しなければならない。

3)( ⑥)は,出席停止の命令にかかる児童の出席停止の期間における(⑦)に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。

【答え】①性行不良 ②教育 ③出席停止 ④保護者 ⑤理由及び期間 ⑥市町村の教育委員会 ⑦学習 ⇒学校教育法第35条を参照。

 

関連する教育法規

■学校教育法第11 条,第35 条

■学校教育法施行規則第26 条第3項・第4項

 

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