クイズで学ぶ教育法規

CASE 3 義務教育の無償性

教員採用試験において、教職教養の“鬼門”とも言われる教育法規。
空欄の丸数字に言葉を入れて、ストーリーを完成させてください。

クイズ法規

樋口 修資(明星大学教育学部教授、東京学芸大学客員教授)

 

解答&解説

憲法第26 条第2項は,「義務教育はこれを無償とする」と定めています。

この憲法の規定に基づき,教育基本法第5条第4項では,国または地方公共団体の設置する学校における義務教育については,授業料を徴収しないとその範囲を定め,また,授業料不徴収の対象を「国公立学校」としています。

このように憲法第26 条第2項にいう義務教育の無償とは,国公立の義務教育諸学校における授業料の不徴収を意味します。

なお,義務教育諸学校で使用する教科書については,憲法の義務教育無償の精神をより広く実現するものとして,「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」(昭和37 年)及び「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(昭和38 年)に基づき,教科書無償給与制度が設けられていますが,この措置は憲法上の直接の要請によるものではありません。

答えは,①教育基本,②授業料,となります。

 

押さえておきたいポイント

第1に,憲法第26 条第2項は,義務教育の無償について規定していますが,どの範囲において義務教育を無償とするかについては,憲法では具体的に定められていません。義務教育の無償の範囲は,かつて裁判で争われたことがありますが,最高裁判決(昭和39 年2 月26 日)では,義務教育の無償は,義務教育の実施に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではなく,義務教育の提供の対価である授業料の不徴収を意味するものと結論付けています。したがって,憲法にいう「義務教育の無償」は,義務教育にかかる授業料の不徴収を範囲とするものであり,授業料以外のものまで無償とすることを定めているものではないことを理解する必要があります。

第2に,憲法第26 条第2項に定める「義務教育の無償」については,教育基本法第5条第4項において,国公立の義務教育学校における授業料不徴収を意味することを明確にしています。また,学校教育法第6条においても,国公立の義務教育諸学校では授業料を徴収することができないと規定し,私立の義務教育諸学校における授業料の徴収が容認されています。これは,市区町村がその区域内の学齢児童生徒を就学させるに必要な小中学校の設置義務を負っており(学校教育法第38・49 条),保護者がこのような無償の義務教育の機会を放棄してまで,その子を私立学校に就学させる場合には,「就学機会の選択の放棄」として授業料を徴収されることはやむを得ないと考えられるからです。

第3に,現在定着している義務教育諸学校における教科書無償の措置は,憲法第26 条第2項にいう「義務教育の無償」の範囲内のものとはいえませんが,憲法の義務教育無償の精神をより広く実現するものとして,教科書の果たしている役割の重要性を踏まえるとともに,保護者の経済的な負担を軽減するため,国の負担による教科書の無償給与制度として実現したものです。この措置は,義務教育諸学校の教科書の無償を定めた「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」と,毎年度,義務教育諸学校の児童生徒が各学年の課程において使用する教科書を国から設置者に無償で給付することを定めた「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づき実施されているものです。教科書無償給与は,国公私立のいずれの義務教育諸学校であっても,すべての児童生徒が使用する全教科の教科書を対象としています。なお,児童生徒が転学した後,使用する教科書が異なる場合は,新たに教科書が給与されますが,教科書を紛失した場合などは,無償給与の対象とはならないことに留意してください。

【問題】空欄に適切な語句を記入しなさい。
1) すべて国民は,(①)の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる(②)を負う。義務教育は,これを(③)とする。

2) 国又は地方公共団体の設置する学校における(④)については,(⑤)を徴収しない。

【答え】①法律 ②義務 ③無償 ④義務教育 ⑤授業料 ⇒1:日本国憲法第26条第2項,2:教育基本法第5条第4項を参照。

 

関連する教育法規
■日本国憲法第26 条第2項

■教育基本法第5 条第4項

■学校教育法第6条・38 条・49 条

■ 義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律第1条

■ 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第3条・第5条

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