場面指導

CASE 31 授業中,子供が泣き出して…

教員採用試験の面接試験で「場面指導」を実施する自治体が増えています。事例解説を通じて対応力を高めましょう。

場面指導

ミニクイズ 怒りの感情と上手に付き合うための心理技術、何というか分かりますか?

 

中根政美(共栄大学客員教授、元埼玉県公立小・中学校長)

 

設問の状況

小学校低学年では、本事例のように、小さなトラブルから児童が泣き出してしまうケースがよく見られます。「となりの子にぶたれた」「いじわるをされた」「○○を取られた」などが直接の原因ですが、日頃の人間関係が十分に育っていないことも根底にあります。また、「貸して」「いいよ」等、言語によって意思を伝え合う能力が十分に育っていないことも一因に挙げられます。言語能力や感情コントロール能力が十分でない低学年では、言葉によって意思を伝える力を、発達段階に応じて計画的に育成していくことが必要です。「すぐに手を出してしまう」「暴力的な言葉を発してしまう」「泣き出してしまう」など、さまざまなトラブルは、豊かな言語能力と人間関係を育てていく好機であると捉えることが重要です。本事例は、2人の児童が泣き出すという事態にどう対応し、その後の指導に生かしていくか、教師としての指導力と資質が問われる場面指導です。

模範的な対応例

本事例のような状況への対応のポイントは次の3点です。①2人の児童を泣きやませることができるか、②他の児童に対して、静かに自習等をするよう指示ができるか、③言語活動を充実させ、豊かな人間関係が育まれる学級づくりに取り組もうとしているか、です。

【問】黒板に板書中、突然、男の子が泣き出しました。どうしますか?

【答】児童のところに行き、本人に「どうしたの?」と聞き、泣きやませるようにします。

【問】隣の児童にぶたれたと答えます。どうしますか?

【答】隣の児童に理由を聞き、状況を把握します。

【問】隣の児童は、「消しゴムを取られたから(ぶった)」と答え、泣き出してしまいました。どうしますか?

【答】「お話は休み時間に聞きますから、今は授業を大事にしようね」と2人に話し、泣きやむよう促します。

【問】それでも2人の児童は泣きやみません。どうしますか?

【答】「授業が大事だということは、分かるよね」と2人の児童に話し、泣きやむように働き掛けます。それでも泣きやまない場合は、他の児童たちに「2人は仲直りをするから心配ないよ。静かに自習して、待っていてね」と指示し、廊下に出て2人から話を聞いて指導します。

【問】どのように指導しますか?

【答】「貸して」と言うべきだったこと、ぶつのはよくないこと、今は授業を大切にしてほしいことを話し、仲直りをさせて授業に戻ります。

【問】この年齢の児童に対する指導で大切なことは、どのようなことですか?

【答】授業や生徒指導を通じ、言語能力やコミュニケーション能力の育成に意識的に取り組んでいくことです。また、日頃から保護者との連携を十分にとり、児童同士の人間関係が豊かなものなるよう配慮していくことです。

求められる教育的知見

近年、小学校における暴力行為の発生件数が増加傾向にあることが懸念されています(「文部科学省 平成26 年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」)。内訳を見ると「生徒間暴力」が最多であり、その要因はさまざまですが、一因として自分の考えや気持ちをうまく伝えたり、人の話を聞いたり
する能力の低下が挙げられています。本事例の対応のポイントも、教師が児童を泣きやませる指導ができるかということと同時に、発達段階に応じて言語活動を充実させ、コミュニケーション能力を育成することの大切さに気付くかというところにあります。

日頃の児童生徒の人間関係を把握しながら、計画的・意図的に言語活動を充実させていくことが、教師には求められます。面接試験では、その一方策としてアクティブ・ラーニングを取り入れた授業や指導に取り組んでいくことを、面接官に伝えていきましょう。

 

類似する質問例
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○「 遊びに入れてもらえない。いじめられている」と、ある子供が訴えてきました。どう対応しますか?

【クイズの答え】アンガーマネジメント

 

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CASE32は・・・

本誌『教員養成セミナー2016年9月号』をご覧ください!

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