教師の本棚

『新潮現代童話館2』

p135

今江 祥智・灰谷 健次郎=編
1992年/新潮社文庫刊

児童文学の“名シェフ”が選んだ現代版童話集

丸山 匠勇(東京都板橋区立西台中学校教諭)

童話といって侮るなかれ。なにせこのアンソロジーは、今江祥智と灰谷健次郎という児童文学の“名シェフ”が、「現代」という視点から選んだ渾身の作品集なのです。

解説で灰谷氏は「(このアンソロジーから)おそらく読者は、特に若い読者は、説教とか正義とかとは無縁な、どちらかといえばそっけないおもむきであるのに、じんとぬくもりが伝わってくるようなそんな友人を得た気分になり、そっと、そして、さりげなくはげまされたように思うことだろう」と書いています。

まさにその通り。まずは冒頭の「セカンド・ショット」を読んでみてください。私は本作の作者・川島誠氏が、まだメジャー・デビューする前に雑誌『飛ぶ教室』(一度廃刊の憂き目に遭いましたが、現在は復刊しています)に載っていた頃からのファンで、その乾いた文体、苦いユーモアが気に入り、作品が単行本化される度に購入しては読みふけっていました。板橋区の中学生による書評座談会で「800」を取り上げてもらった時は、作者ご本人においでいただき、楽しい一時を過ごさせてもらいました。(ちなみにその次の書評座談には、これもまだブレイクする前の江國香織氏においでいただきました。)

「セカンド・ショット」でも、彼の持ち味が存分に生かされています。バスケ少年を主人公とした物語ですが、その幕切れたるや唖然とすること請け合いです。

収録されているのは、川島誠、江國香織、上野瞭、岩瀬成子、岡田淳、あまんきみこ、村中李衣、阪田寛夫、森忠明、工藤直子、夢枕獏、眉村卓、池澤夏樹などの錚々たるメンバー。このラインナップがすべて文庫書き下ろしとは、なんて贅沢な作りなのでしょうか。名手達の名短編から、さまざまなエッセンスを吸収してください。

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご紹介