教職感動エピソード

Vol.15 生徒が主体的に活動することが嬉しい

坂本 良介(横浜市立笹下中学校教諭)

感動エピソード

 

教師になって嬉しかったこと、楽しかったこと、大変だったこと、辛かったことなど、いろいろありました。もちろん、「感動した」ことも多々ありました。その中で、特に印象に残っている出来事をいくつか書いてみたいと思います。

 

合格を勝ち取った生徒の笑顔

初任から4年目、1年生から持ち上がりで見てきた生徒たちを初めて卒業生として送り出すことになった年のことです。何回も面談を重ねた末、成績よりも少し難しめの公立高校に受験することを決めた男子生徒がいました。合格発表当日、学校で結果を待っている私の目に、走って来るその生徒の姿が飛び込んできました。満面の笑顔から、一目で合格したということが分かりました。その瞬間、何とも言えない感動が押し寄せてきたことを今でも鮮明に覚えています。

教師になって初めて送り出す卒業生ということもあり、全てのことに緊張していた私に、大きな充足感を味わわせてくれた出来事でした。そんな感動を与えてくれた生徒には、心から感謝しています。

 

生徒の涙にもらい泣き

次は、初めて転任した先の学校で、1年生からの持ち上がりで3年生を担任したときのことです。すでに中堅となっていた私は、学年担任の中でもリーダー的な存在になっていました。

この学校で私は、行事等において生徒たちに主体的に活動させることを重視していました。そして、京都への修学旅行も、生徒による実行委員会を中心に、企画を練りました。現地では、その学校で初めてとなる班別自主行動を行いましたが、全ての班が計画案通りにしっかりと行動するなど、見事に修学旅行を成功させました。

私は、企画段階からずっと、実行委員会の生徒たちを支える形で、活動の様子を見守ってきました。修学旅行が無事に終了した後、実行委員会の解団式を行いましたが、一言ずつ感想を述べる中では、涙を流す者もいました。自分たちの力で「やりきった」という思いからあふれ出た涙。思わずもらい泣きをしそうになりました。教師をやっていて本当に良かった。そう思えた瞬間でした。

 

ブレない信念は
「生徒が主体的に活動していくこと」

さらに年月が経ち、私は学年主任という立場になりました。初めてとなる、学級担任を持たない学年主任。周りが年下の先生ばかりになったことから、担任を持つよりも、若い先生に経験を積んでもらった方がよいだろうとの判断でした。

学年主任となると、今までとは視点や視座が違ってきます。学年の全ての生徒たちのことを考え、学年としてどういう方向を目指すのか、何を目的としてやっていくのかなど、考える日々が続きました。生徒指導も中核となって行っていかねばなりません。

そんな中でもブレることなく持ち続けた信念は、「生徒が主体的に活動していくこと」です。理由は、そうした活動が、生徒たちの将来にとって大きな経験になると確信しているからです。そのため、生徒の自主的な活動を応援する立場に徹してきました。その過程ではいろいろなトラブルもありましたが、それ以上に達成感を味わえる機会がたくさんありました。

生徒の自主的な活動の集大成として、3年生の卒業期のプログラムがあります。卒業までの数日間、生徒たちが自ら企画を考え、展開していくもので、これを共に作っていく過程は、教師としても楽しいものがあります。生徒と一緒に同じ目標に向かって過ごすという経験は、教師にとってもとても大事です。私自身、これまでに何度もそうした経験をさせてもらい、毎回、大きな達成感を味わうことができました。

プログラムの中で最も印象に残っているのは、卒業式で歌う曲を卒業生が自分たちで作詞・作曲したことです。学級委員会での話し合いで、「過去にやったことがないことをやりたい」という意見が出たために始めた挑戦でしたが、いざ始めてみると本当に大変でした。良い歌詞が思いつかなかったり、メロディーが今一つだったり…。試行錯誤を経て、ようやく曲を完成させることができたのは、卒業式の直前でした。そこから全員で歌を覚え、卒業式を迎えたのです。

卒業式は涙、涙の連続でした。生徒代表の言葉では、学年のリーダーの女子生徒が涙をこらえながら3年間の思いを語り、最後の歌のときは、会場中が感動に包まれ、来賓の方々までもが涙を流していました。

 

修学旅行 新しい一面 近づいていく距離
仲間の応援 熱く燃えて 涙もあった体育祭

魂こめ 絆の深さ 見せつけた合唱コン
最後の部活の涙は 努力の証

不安な時 そばにいてくれた仲間
時に厳しく 時に優しく 支えてくれた
そんな仲間、先生が 僕の宝物
今日までのことにありがとう

この歌が終わる時 僕らは羽ばたくんだ
さよならは言わないよ また会えるから
今までに感謝 ありがとう
先生 家族 みんな ありがとう
(抜粋)

 

参加した保護者からは、「まるでドラマのような卒業式だった」との言葉もいただきました。生徒たちも男女を問わず皆が泣いていましたが、その表情からは「前に進もう」という確かな意思を感じることができました。

この歌を聞いている時、私自身も3年間の思い出が浮かんできて、涙を止めることができませんでした。もう何年にもわたって教壇に立ち続けているのに、それでも新たな感動が起こるということに、教師という仕事の奥深さがあるのだと思います。

もちろん、新たな感動を得られるかどうかは、教師自身の姿勢にもよります。大切なのは、常に前向きに新しいことに挑戦して、教師自身が成長していくことだと思います。

今、私は再び3年生の担任をしています。この1年間を生徒たちと共に過ごすことの喜びを感じながら、常に前へ進んで行きたいと思っています。そして、これからも感動できる先生でありたいと考えています。

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内