教師の本棚

『シャーロットのおくりもの』

p135

E.B.ホワイト=著 さくまゆみこ=訳
2001年/あすなろ書房
1,500円+税

「生きていることの素晴らしさ」を痛感できる児童文学作品

柳 志穂(練馬区立大泉西小学校主任教諭)

先日、教室に小さなクモがいました。すると子供たちはクモの周りに集まり、何やら相談を始めました。

「殺しちゃいけないんだよ!」
「窓から出そうよ!」

そんなやり取りがあった後、一人の子がクモをティッシュに包み、外へ逃がしました。その様子を見ながら、私は1冊の本を思い出していました。それが今回紹介する『シャーロットのおくりもの』。ある農場で過ごす子ブタのウィルバーとクモのシャーロットとの友情物語です。

農場でのブタの運命は、生まれてきた時から決まっています。いずれは殺され、人間たちに食べられます。私たち人間は、その命をいただいて生きています。物語には、そんな運命にあるウィルバーや農場で時を共にする動物の仲間たちが登場し、農場の人々の思いも語られます。

生まれつき体が小さかったウィルバーは、生後間もなく処分されそうになります。少女ファーンが必死で止めたおかげで生き延びたものの、やはり最終的な運命は決まっています。そんなウィルバーを、クモのシャーロットが命がけで守ろうとします。クモが子ブタを助けるなんて…と思う人もいるでしょうが、この助け方が実に美しく、心を打たれます。そして、シャーロットは奇跡を起こすのですが、その後には悲しみもあります。物語には「生」とともに「死」が描かれ、日常生活の中では感じることのできない「生きていることの素晴らしさ」を痛感することができます。生きるとは何か、死ぬとは何かを簡単に語ることはできませんが、この作品を読むと、自分自身がどのように生きることが大切なのかと考えさせられます。児童文学ですが、とても読み応えのある作品です。

クモを助けた子供たちを見た時、私は多くの言葉はかけませんでした。でもいつか、この中の誰かが『シャーロットのおくりもの』を読んでくれたらいいなと思いました。

 

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