編集長コラム

児童生徒だけじゃない “評価”は学校や先生も受ける

学校を「評価」するのは誰?

子供たちは、教育活動のあらゆる場面で「評価」をされます。小テストがあれば点数を付けられ、中学校以上の定期テストでは点数だけでなく順位も付けられます。学期末には通知表が渡され、3段階もしくは5段階の評定とともに、所見欄にはコメントも添えられます。入試直前期には偏差値も出され、それを一つの指標として進路が検討されます。こうして見ても、子供たちは日々、評価というプレッシャーにさらされていることが分かります。

しかし、「評価」をされるのは子供たちだけではありません。昨今は、学校や先生も、さまざまな形で評価を受けています。

学校に対する評価は、「学校評価」と呼ばれ、学校教育法にも規定されている、全国共通の仕組みです。国公私立を問わず、すべての小・中・高校や特別支援学校で行われています。

「学校を評価するって、一体誰がするの?教育委員会?保護者?それとも子供?」

そう疑問に思う人もいるでしょう。確かに、評価は誰がするかによって結果が変わってくるだけに重要な問題です。

民間企業の場合、一般的に評価は上部組織や上司が行います。本社が支社を、部長が部員を、といった具合にです。その法則に則れば、学校を評価するのは教育委員会…となりそうですが、現行制度において教育委員会による直接評価は行われていません。

では、誰が評価をしているのでしょうか。大きく3タイプに分かれます。1つ目は教職員が行う「自己評価」、2つ目は保護者や地域住民が行う「学校関係者評価」、そして3つ目は外部の専門家が行う「第三者評価」です。

 

当事者による「自己評価」の意義とは

「ちょっと待って。保護者・地域住民や外部の専門家が評価するのは分かるけど、当事者である先生が自分たちを評価するって、何の意味があるの?」

「自己評価」については、そう思う人もいることでしょう。確かに、自分で自分を評価するという取り組みは、一般の人にはあまり馴染みのない形かもしれません。

「自己評価」は、教職員が自ら立てた目標に対してその達成度を測り、次年度の教育活動を充実させるために行います。このサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の「PDCAサイクル」と呼ばれ、民間企業のマネジメント手法としてもよく使われます。

自分で自分を評価するのですから、大切なのは評価の基準を明確化することです。例えば、年度当初に「読書活動の活発化」という目標を設定したとして、年度末にその評価を5段階で行うとします。

□ 活発化した
□ やや活発化した
□ 普通
□ あまり活発化しなかった
□ 全く活発化しなかった

このような評価基準では、人によって評価が変わってくるため、客観性が担保されません。一方で、次のように設定すれば、誰が評価しても結果は変わりません。

《学校図書館の貸出冊数》
□ 児童生徒1人平均10冊以上
□ 児童生徒1人平均5冊以上
□ 児童生徒1人平均3冊以上
□ 児童生徒1人平均1冊以上
□ 児童生徒1人平均1冊以下

もちろん、すべての評価基準を数値化できるわけではないでしょうが、可能な限り客観的な評価基準を設けることが、評価の公正性を高める上で不可欠となります。

各学校は、こうして行った自己評価に基づき、達成できた部分とできなかった部分を分析し、次年度の教育計画に生かします。それと同時に、評価の結果はホームページ等を通じて、公表することとなっています。公表の義務付けがあるのは、学校が保護者や地域住民の税金等で設置・運営されている以上、どのような教育活動をして、どの程度の成果が出ているか、「説明責任」を果たす必要があるからです。

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学校教育は野球やサッカーと違う

残りの「学校関係者評価」と「第三者評価」は、外部の人による評価です。こちらは、当事者ではない人が評価するため、客観性は担保されるように思えます。しかし、これらの評価も、手順次第では的外れな評価となってしまう可能性があります。

今から10年ほど前、ある小学校の「授業評価」の実践を取材したことがあります。「授業評価」とは、保護者や地域住民が、先生の授業を見て、その内容を5段階で評価するというもので、「学校関係者評価」の一つと言えるでしょう。その時、ある先生の授業を見た保護者が、次のような理由で低評価を付けていました。

「先生は同じ子ばかりを指していた。もっと平等に発言機会を与えるべき。」

しかし、その先生には、同じ子を何度も指名する理由がありました。前の授業で、恥ずかしいミスをしてしまった子に、名誉挽回のチャンスを与えようとしていたそうなのです。このことを事前に知っていたら、前出の保護者の評価も変わっていたことでしょう。

私たちはよく、野球やサッカーの監督に向けて、「あの選手起用はよくない」「あの作戦は無謀だ」などと、批判をぶつけます。しかし、監督には監督なりに、外からは見えないチーム事情に基づいて、そうした采配をしている可能性もあります。

野球やサッカーなら、最終的に成績・順位が出ますから、私たち外部の人間が点数をつけずとも、監督の評価は数字となって現れます。しかし、学校の場合は、成績や順位が出るわけではないではありません。そう考えると、「学校関係者評価」や「第三者評価」が持つ意味は大きく、その手続きは精度の高いものである必要があります。

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