Professional の仕事

第10回 PTA会長 鈴木 るり子 さん

教育活動に関わるのは教師だけと思っていませんか?学校は実にさまざまな人たちの支えによって成り立っているのです。「チーム学校」の一員として子供たちの健やかな学びを支える人々に、話を伺いました。

文・澤田 憲

P130鈴木 るり子(すずき・るりこ)さん
埼玉県戸田市立新曽中学校PTA副会長の職を経て、2014年5月から同校PTA会長を務める。2013年より同校学校応援団コーディネーターを兼務。趣味は「健康でいられる食」を考えること。

 

――PTAの役割について教えてください。

PTAは「Parent-Teacher Association」の略で、保護者と教職員が連携して子供たちの教育活動を支援するための組織です。組織の形態や運営のあり方は、学校によって異なります。私が会長を務めている埼玉県戸田市立新曽中学校の場合、会長、副会長、会計らが所属する執行部の他に、総務部、文化部、補導部、厚生体育部、広報部など6つの部で運営されています。各部の役員は各クラスから1名ずつ選出され、立候補者がいない場合はくじ引きで決めています。

役員の主な仕事は、教育活動のサポートです。例えば、学校行事では受付や見守り、駐輪場の整理などを行います。部単位での活動も展開しており、例えば文化部であれば、学校の体育館などを借りて、講演会やヨガ教室などを開いています。また、補導部では美化委員の子供たちと合同で花植えをしており、広報部では『木犀』という学校広報誌を年3回発行しています。

 

――PTA会長になるために必要な条件はあるのでしょうか?

在校生の保護者であることを除けば、必要な条件は特にありません。ただし会長となるためには、役員で組織される選考委員の承認を得る必要があります。
本校の場合、PTA会長は毎年5月の総会で任命されます。立候補することもできますが、前の会長から推薦されるケースが多いですね。任期は1年ですが、承認を得られれば継続することもあります。

選考委員は、各部の部長が務めます。1年ごとに、会長や執行部メンバーの適性が審議され、場合によっては退任を要求されることもあります。

 

――鈴木さんがPTA会長になられた経緯を教えてください。

私が会長になったのは2年前です。もともとは新曽地区で運営している小・中合同の学校応援団に参加していたのですが、そこで前の会長さんと知り合い、私の息子が中学校に上がるときに「副会長になってほしい」と頼まれたのがきっかけです。初めは副会長だけのつもりでしたが、会長が退くにあたり、推薦を受けて会長になりました。

最初は、母親が頻繁に学校へ来ることを子供が嫌がるのではないかと考え、お断りしたのですが、会長職は多忙なイメージもあってか、なかなか立候補される方が少ないんです。そこで家族会議を開いたところ、意外にも夫も息子も理解を示してくれたので、子供のためにやってみようという気持ちになりました。

あと戸田市は女性の会長が少ないんです。6校ある中学校のうち、女性の会長は私だけなので、母親ならではの視点で役に立てることもあるのかなと思いました。

 

――日頃、PTA会長としては、どのような活動をされているのでしょうか?

市内のPTA会長は全員「戸田市PTA連合会」に所属しており、2〜3か月に1回、全員が集まって会長会を行っています。会長会では、各学校で問題になっている案件を報告し、解決に向けた話し合いを行うほか、全校合同のソフトバレーボール大会など、PTAに所属する保護者同士の交流会の企画運営も行います。

それ以外にも、かなりの数の「充職(あてしょく)」があります。充職とは、市から依頼される仕事のことで、各PTA会長は“保護者の代表”という立場から、社会教育委員会や教科書選定委員会の会議に参加して意見を述べたり、入学式や卒業式の祝辞などを読んだりします。戸田市の場合、おおよそ1人あたり2〜3の充職を持っています。

学校内では、年に3回理事会があります。理事会では、校長や教頭、各部長らと共に、学校行事の運営担当やスケジュールについて打ち合わせを行います。PTAの役員はほとんどの方が仕事を持っておられるので、理事会が開かれるのは夜が多いですね。

 

――会長の仕事を通じて、何か感じることはありますか?

PTAは、子供のためだけでなく、親自身のための組織でもあるということです。本校では、伝統的に「朝のあいさつ運動」に力を入れていて、年に1回、すべての保護者が正門と裏門に立って、子供たちに「おはよう」と声をかけています。
子供が中学生になると、多くの親は子供と関わる時間が少なくなり、自分の子供が学校で何をしているのか、よく把握できていません。PTAの活動を通じて、保護者が学校に足を運ぶ機会を設けることで、子供たちの顔を見て安心したり、親同士が相談し合ったりする機会を作ることができます。

P131PTA会長の職を通じて、新しい出会いや友人に恵まれたと話す鈴木さん。
PTA会長退任後は、学校応援団の一員として支援活動に携わっていくそうです。

 

――印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

昨年、学校の「文化週間」の期間中に、体育館でオープンカフェを開催しました。文化部の子供たちは、運動部のように試合がないため、活動の成果を発表する機会が多くありません。そこで第2体育館に、カフェに併設する形で作品の展示スペースを設け、保護者や地域の方がお茶を飲みながら美術作品などを鑑賞できるようにしました。子供たちの作品が見られたことはもちろんですが、それ以外にも親同士の交流の場ができたことなどが、来場した人たちからとても好評でした。

オープンカフェの企画と運営は、生徒会のメンバーと合同で進めましたが、今後もこうした活動はぜひ続けてもらいたいと思っています。現在、本校には文化祭がないため、将来的には文化祭ができるようになればいいなと思っています。

 

――PTA会長職の醍醐味は、どんなところにあると感じていますか?

最初は「少しでも子供のためになれば」という軽い気持ちで着任しましたが、いろいろと貴重な体験をさせていただき、やってよかったなと思います。何より、この年齢になって新しい出会いや友人に恵まれることは、会長職をしていなければなかったと思います。子育てについてアドバイスし合える親同士の強いつながりを作れたことは、私にとって大きな財産となりました。

時には大変なこともありますが、PTA会長といっても“普通のお父さんお母さん”です。私を見て、他の人が「鈴木さんにできるなら、私にもできるかな」と思ってもらえたらいいなと思います。
※本インタビューは、2016年3月に行われたものです。

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