カリスマ教師の履歴書

File.13 竹内 勝広先生(横浜市立南中学校)

多くの経験から学ぶことそれは教師も生徒も同じ

ユニークな指導法で生徒のやる気を引き出す竹内勝広先生。インタビュー中、何度も出てきた「楽しい」という言葉の奥には、決して途中で諦めない、投げ出さないという強い覚悟がありました。

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文・平野 多美恵

 

 

料理教室の経験までも授業の参考に

 

「部員が多いのが自慢なんですよ。」

竹内勝広先生が指導する柔道部は、男子40 名、女子14 名と、他の部活動と比較してもその多さが際立ちます。関東大会、全国大会への出場や神奈川県の柔道形競技会優勝などの輝かしい成績を見ると、柔道一筋の厳しい練習ばかりを想像しがちです。でも、実際には練習に相撲やレスリングを取り入れたり、保護者の協力を得て焼き肉パーティーを開いたりと、自由な発想で“楽しく”活動していると竹内先生は言います。

「目標を達成するために必要な厳しさはありますから、部員たちにとって練習は楽なものではないでしょう。でも、途中で辞める生徒はほとんどいません。」

厳しい練習の合間の楽しいイベント。時にぶつかりながらも、仲良く活動できる雰囲気。さらに、生徒一人ひとりのやる気を引き出す練習方法。こうした工夫によって、多くの生徒が途中で辞めることなく、最後までやり抜くことができているようです。

「例えば、相手と組む試合は苦手でも、“形”(競技の一種)ではキラリと光るものを持った生徒がいます。そこを磨き、大会で好成績が残せれば、披露する機会も増えます。生徒はさらに頑張るので技術とともに自
信がつきます。」

練習の一環として取り入れた相撲の方で全国大会に出場した生徒もいれば、同じく取り入れたレスリングで、高校進学後にインターハイ出場を果たした生徒もいます。

「相撲やレスリングを練習に取り入れた第一の理由は柔道に生かすためです。でも、生徒たちはさまざまな経験の中で新たなものに出会い、身も心も成長します。そんな楽しさを感じてほしいと思っています。」

そう話す竹内先生自身も、さまざまなことに挑戦してきたと振り返ります。初任時に通ったのは料理教室。講師の先生が、調理の方法の説明、調理、試食、片付けという流れを1時間で収めるために、周到な準備をしていることに気付かされたと言います。その経験は、理科実験の授業を進める上で、とても参考になったそうです。他にも英会話スクールやマラソン、トライアスロン、スキューバダイビングなどに挑戦してきました。

「私自身、好奇心旺盛なところもありますが、教師という仕事は、学校・家庭・プライベートのバランスが大切だと思っています。料理教室の経験が授業に生きたように、それぞれの経験が補完し合い、関係し合いながら、日々が豊かなものになっていきます。教師になったばかりの頃は、初めてづくしで忙しさを感じますが、そうした状況でも上手に時間を作って習い事などに行けば、自分自身が豊かになり、心の余裕も生まれます。そうした遊びの部分が、その人の魅力となって教員の仕事にも生きていくでしょう。」

 

柔道の指導を通して生徒と心を通わせる

 

竹内先生が教師を目指したのは、中学2年で出会った柔道部顧問の先生の影響が大きいと言います。

「その先生との間に何か特別な出来事があったわけではありません。でも、厳しく、温かく、そしてかっこ良い立ち居振る舞いに、初めて『この人のようになりたい』と目標となる大人に出会えたように思いました。」

それまでは何を目指してよいか分からず、いろいろな部活動に入ったり、勉強にも打ち込めずにいたりしましたが、先生との出会いがきっかけで「中学校の教師になって、柔道部の顧問になる」という目標を持ち、勉強も柔道も一生懸命になることができました。

そうして中学校の理科教師になった竹内先生。運良く、初任校から念願の柔道部顧問になることもできました。一方、日々の授業では苦労することも多く、特に異動直後に3年生の担任になった時は、生徒との信頼関係が築けず、進路指導や生活指導にも難しさを感じたと言います。「学校に行きたくない。」時にそう思うこともあった竹内先生を支えたのが、柔道部での指導でした。

「学級運営で行き詰まりを感じていても、柔道を通して生徒と心を通わせ合うことができました。その時間が糧となり、学級運営も逃げずにやり抜くことができました。拠り所があるということは本当に大切なことですね。」

竹内先生の基本スタンスは“生徒と一緒に楽しむ”。行事では、勝てば生徒と共に笑い、負ければ共に泣いたりします。そうした3年間を通じ、生徒が成長していく姿を見ることが、一番のやりがいにつながっていると言います。

 

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一番の解決策は、問題から逃げず誠実に生徒と向き合うこと

 

失敗もたくさんあった。でも、後で振り返ればと笑い話になっている。そう竹内先生は語ります。

「大切なのは“失敗しないこと”ではなく、失敗したときやうまくいかないときに“逃げないこと”です。問題から逃げて、良くなることなんて何もありません。」

逃げないこと、そして生徒に対して誠実に接すること。この2つを大切に一生懸命取り組むことで、最後には「頑張ってよかった」という結果を必ず得られると竹内先生は言います。

「学級崩壊やいじめ問題、保護者からのクレームなど、最近の新聞報道を見ると、教師という仕事に不安を感じる人もいることでしょう。でも、心配することはありません。子供たちは昔と何ら変わらず可愛いですし、保護者の方が意見を言うのも、子供のことが心配だからこそだと思います。教師は子供と共に成長できる素晴らしい仕事です。前向きな気持ちを持って、頑張ってほしいと思います。」

 

竹内先生 顔

Profile
竹内 勝広
1968 年12 月26 日生

1992年4月 横浜市立境木中学校に赴任
1998年4月 横浜市立港南中学校に赴任
2008年4月 横浜市立南中学校に赴任(現職)

座右の銘
夢を力に!

趣味・特技
マラソン、トライアスロン、スキューバダイビング

トライアスロンでは水泳3.8km、自転車180km、マラソン42.195kmのロング競技に出場し、見事完走。

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