編集長コラム

入学式から卒業式まで 学校の1年をめぐる数々のギモン

学校はなぜ「4月入学・3月卒業」なのか

学校の1年は、4月に始まり3月に終わります。これは、以前のコラムでも書いたように、法律(学校教育法施行規則第59条等)で決められている、全国共通の仕組みです。私立学校も例外ではなく、このサイクルに沿ってすべての学校が、入学・卒業・進級、教職員の採用・異動、学校の設置・廃止などが行われます。

一方で、最近では一部の大学で、9月入学制度を導入しようという動きがあります。これは、欧米の大学と足並みをそろえることで留学生の交流等を促進し、グローバル化を図ることを目的としたものです。しかし、現実にはなかなか進んでいません。要因の一つには、小・中・高校が「4月入学・3月卒業」の制度を一律に敷き、それが人々の暮らしに深く浸透しているからという側面があります。

学校が一律で敷く「4月入学・3月卒業」の仕組みは、一般社会にもさまざまな形で影響を及ぼしています。例えば、企業の入社式が4月初旬に行われるのは、大学生や高校生等が3月末に卒業するからです。その結果、多くの企業が「4月1日付け」で人事異動を行い、転勤・転居もこの時期に集中します。

企業の決算月も、多くの企業が3月に置いています。そのため、6月下旬には全国各地で株主総会が開催されます。理由は、会社は決算日から3カ月以内に、定時株主総会を開かねばならない決まりになっているからです。

このように、日本社会は「4月→3月」の年度サイクルが「1月→12月」以上に、深く浸透しています。これは、明治期に国家の会計年度をイギリスに倣って「3月末」で区切ったことに起因しており、学校教育もこれに歩調を合わせる形で、「4月入学・3月卒業」になったと言われています。

 

「4月1日生まれ」をめぐる扱い

学校年度における最大の謎は、「4月1日生まれ」の人の扱いです。ご存じの人も多いと思いますが、入学年度は「3月31日/4月1日」の間ではなく、「4月1日/4月2日」の間で区切られます。そのため、「4月1日」生まれの人は、その学年で最も誕生日が遅い年少者となります。

学校年度が「3月31日/4月1日」で句切られるのに、なぜ入学者の扱いに1日ズレが生じているのでしょうか。この謎を解く鍵は、年齢計算ニ関スル法律と民法第143条にあります。

これらの法律では、年齢が加算される瞬間を「誕生日の前日が終了する時(24時)」と定めています。つまり、4月1日生まれの人ならば、3月31日の終了時に年齢がカウントされ、4月1日はすでに1歳年齢を重ねた状態で迎えることになります。シンプルに言えば、4月1日生まれの人の年齢は、3月31日に加算されるということです。

児童生徒の就学は、このルールに基づいて行われます。そのため、4月1日生まれの子は、3月31日を基準日として、従来よりも一つ前の学年に組み込まれるわけです。

「なぜ、そんなややこしいことを…」と思う人もいると思いますが、日本人の年齢加算は、基本的にこのルールに則って行われます。なぜ、誕生日の「当日の0時」ではなく「前日の24時」としているのか。それは、閏年の2月29日に生まれた人の年齢が、「当日の0時」では加算できないためだとも言われています。

日本人の誕生日ランキングを見ると、「4月1日」は365日中第2位、「4月2日は」は362位という結果が出ています(ちなみに1位は「12月22日」で、最下位は「2月29日」を除くと「1月1日」)。

4月1日と2日、たった1日違いでこれだけ差があるというのは、普通では考えにくいでしょう。その昔、いわゆる「早生まれ」は小学校入学後の苦労が多いとのことで、4月1日に生まれた子を「4月2日生まれ」として、出生届を出すケースも少なからずあったと聞きます。統計上、「4月1日生まれ」が極端に少ないという現象は、子を思う親の気持ちの現れなのかもしれません。

誕生日と入学年度の関係

 

運動会はなぜ春開催が増えているのか

学校の1年を見ると、昔は全国どの地域のどの学校も、ほぼ同じような行事予定となっていました。以下は、そのオーソドックスな例です。

4月…入学式、始業式
5月…遠足、家庭訪問
9〜10月…運動会(体育祭)
10〜11月…学芸会(文化祭)
1〜2月…スキー教室、マラソン大会

しかし近年では、運動会を秋ではなく春(5月頃)に開催する学校が増えています。運動会といえば秋…というイメージが強いのに、なぜ春に開催するのでしょうか。理由として、以下のようなものが挙げられます。

○9〜10月は他の行事や公開研究会などが集中し、十分な準備時間が取れないため
○秋以降に大きな行事を開催すると、最上級生の受験勉強に影響するため
○9月よりも5月の方が涼しく、熱中症の心配が少ないため

こうして見ると、秋よりも春が良いという考えにも、ある程度納得がいきます。

一方で、運動会の春開催には、デメリットもあると言われます。例えば、春先はまだクラスが結成されたばかりとあって、クラスの友人関係も、リーダー的な役割を果たす子も定まっていません。以前、ある先生が「運動会が春だと、団体競技が今ひとつ盛り上がらないんだよね」と話していましたが、この時期はまだ子供たちも様子を見ている状況なのでしょう。

なお、以前は春に午前もしくは午後のみの「運動会」を開催し、秋に1日をかけて「大運動会」を開催するという学校や地域も数多くありました。しかし、学校週5日制が導入され、学校裁量時間が削減される中で、行事も減り続けており、そうした学校はほとんどなくなりました。運動会に限らず、学校行事は減少傾向にありますが、子供は行事を通じて育つ側面もあるだけに、少し気がかりなところです。

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