教師の本棚

『海賊とよばれた男(上・下)』

P131

百田 尚樹=著
2012年/講談社
各750円+税(文庫版)

 

これからの教師が持つべき姿

丸山 匠勇(東京都板橋区立西台中学校教諭)

「もうこの本は読んだ」という方も多くいらっしゃるだろうと思います。しかし、今回はあえてこの本を取り上げることにしました。

このところ毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい著者の百田氏ですが、彼はこれまでに多くの傑作を輩出してきています。『ボックス!』はボクシングを舞台にしたリドルストーリーでしたし、『永遠の0』はその構成が新鮮でした。しかし、この『海賊とよばれた男』は、間違いなくこれまで彼が手がけた作品における最高傑作です。

上巻の後半分(明治期~)が冗長に感じることなど、いくつか欠点があるのも確かですが、何と言っても主人公の生きる姿の鮮やかさには脱帽してしまいます。「出光興産」という会社のことは、某音楽番組のスポンサーであることなどを含めよく知っていましたが、そこにこんな勇者がいるとは知りませんでした。同じ日本人として、私はこのような方がいたことを誇りに思います。

今のご時世、難しいことも多々あります。そうした状況の中でも強い自分を持ち、先頭に立って難局を切り抜けていく。そうした主人公の強い姿勢こそ、これからの教師が持つべき姿なのではないでしょうか。

中でも、しびれたのは「『ならん』と鐵造は言った。『ひとりの馘首もならん』」という一言です。社員を誰一人として見捨てることなく、粘り強くさまざまな仕事に取り組み、知恵と努力によって進んでいく。まさに今の日本人、今の教師にとって必要不可欠な資質だと思います。

最後までワクワクと胸躍らせながら読み進めることができ、読了後には誇らしい気持ちになっていました。ジャンルとしては経済小説なのでしょうが、教員として、日本人として、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

教セミちゃんねる 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご紹介