映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「奇跡のリンゴ」

2013年/日本/129分
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ、菅野美穂、池内博之、笹野高史、伊武雅刀、山崎努 他

「奇跡のリンゴ (特典DVD付2枚組)」
DVD発売中
¥4,700+税
発売・販売元:東宝
©2013「奇跡のリンゴ」製作委員会

 

実りを信じて努力し続けることの大切さ

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

今回ご紹介する映画は、一人の「奇人」が生み出した「奇跡」の話です。しかし、その裏には長い忍耐の時とその日々を支えた家族の絆があります。映画では、主人公の人生がいくつかのエピソードや事件とともに紹介されますが、その一風変わったこだわりは、時に周りの人を悩まし、魅了します。

何事も10年やればものになると言われます。しかし、その10年間、何の成果も進歩も得られない状況が続いたら、果たしてどうでしょうか。「石の上にも三年」という諺がありますが、10年もの長きに渡りそうした日々が続けば、果たして頑張り続けることができるか。妻や子供などの家族、信頼している友人が、そんな自分を支えてくれるかどうか、残念ながら私には自信がありません。

しかし、そう考えているようでは、所詮「新しく偉大なこと」などできないのでしょう。何があっても最後までやり通す。そんな覚悟が必要であり、そのためには損得勘定を超越したモチベーションを持てる、運命的なミッションが必要です。

…と、感動のあまり前置きが長くなりましたが、この映画は「奇跡のリンゴ」を育てた木村秋則氏の実話を基にした映画です。

秋則は探究心旺盛で、こだわりが強い個性的な少年。リンゴ農家の家業が嫌でサラリーマンになったものの、幼なじみだった木村家の一人娘・美栄子と結婚し、木村家に婿養子に入ってリンゴ栽培に勤しむ日々を送っています。そんなある日、美栄子の体に異変が起きます。原因は、栽培するリンゴに年十数回も散布する農薬でした。

美栄子を愛する秋則は、無農薬のリンゴ栽培に挑戦することを決意します。しかし、それは絶対不可能な栽培方法だと皆に言われます。秋則は美栄子の父・征治の支援を受けながら、果敢に無農薬栽培に挑みますが、何年も失敗を繰り返し、借金ばかりが膨らんで生活が困窮するようになります。仕方がなく出稼ぎに行った先では、大切な資金を盗まれる始末…。やがて周囲の農家からも孤立し、愛する妻や3人の娘にも苦労をかける日々が続きます。

10年の歳月を経ても努力が実らない現実を前に、気力の失せた秋則は岩木山で自殺を図ろうとします。と、その時、1本のくるみの樹を発見します。自然の中で枯れることなく、害虫にも侵されないその樹を見て、彼はリンゴの木も同じではないかと思い直します。そして、ここから奇跡の大逆転が始まるのです。

木村秋則役の阿部サダヲ(高校生期は森永悠希)、妻・美栄子役の菅野美穂(高校生期は飯村未侑)、そして美栄子の父であり秋則を必死で支えた恩人・征治役の山崎努など、登場するキャストがいずれもハマリ役で、感動的な作品に仕上がっています。

「人を育てる教員の仕事は、農業の仕事と似ている」と恩師が語ったことがあります。手を掛ければそれだけ報われることもあるが、時に裏切られ失望することもある。しかし実りを信じて日々努力することだけが、豊かな実りを約束する。まさに教師とはそんな仕事なのかもしれません。

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