Professional の仕事

第8回 学校評議員 稲井 達也 先生

教育活動に関わるのは教師だけと思っていませんか?学校は実にさまざまな人たちの支えによって成り立っているのです。「チーム学校」の一員として子供たちの健やかな学びを支える人々に、話を伺いました。

・黒澤 真紀

P126稲井 達也(いない・たつや)先生
1962年東京都生まれ。上智大学文学部国文学科卒。教育学修士(東洋大学)、学術博士(筑波大学)。約25年間にわたり、都立高校、都立中高一貫校、東京都教育委員会などに勤務した後、2012年4月から日本女子体育大学教授として、国語科教育を研究。その傍ら、都立高校などで学校評議員を務める。趣味はマラソンと自転車。

 

――稲井先生は現在、日本女子体育大学の教授でいらっしゃいますが、まずはこれまでのご経歴について教えてください。

大学を卒業した後、3校の都立高校、都教育委員会の他、都立小石川中等教育学校の開設準備業務に携わった後、開校後は主幹教諭と1期生の学年主任を6年間務めました。高校、中高一貫校と教育委員会での勤務は25年以上に上りましたが、その後は大学に移り、2012年4月から日本女子体育大学で教授を務めています。

 

――学校評議員には、どのような経緯でなられたのでしょうか?

学校評議員となったのは大学に移った後のことで、2014年4月から都立桜修館中等教育学校、都立大崎高校、世田谷区立給田小学校、2015年4月からは都立町田高校で学校評議員を務めています。給田小学校はコミュニティ・スクール(地域運営学校)です。世田谷区の全ての小中学校はコミュニティ・スクールになっています。私はその学校運営委員長を務めています。依頼されたきっかけは、いずれの場合も校長先生や副校長先生と知り合いだったご縁などからです。

 

――どのような人が、学校評議員に選ばれるのでしょうか?

校長先生から教育委員会に推薦され、教育委員会から正式に委嘱されると、学校評議員としての仕事が始まります。どんな人を校長先生が推薦するのかというと、学識経験者、PTA 会長、同窓会会長、自治会長、地域の小中学校長などが多いですね。もちろん、学校評議員が専任の職業というわけではないので、各評議員はそれぞれ本務を持っています。そうして本務の仕事をしながら、その傍ら学校評議員の仕事をしているといった感じです。

 

――学校評議員に「選ばれやすいタイプ」の人はいるのでしょうか?

教育現場の経験があるかどうか、教育についての知識と理解があるか、相談しやすい人柄かどうかなどが考慮されるでしょう。学校によって学校評議員の人数やメンバー構成はまちまちです。私が主幹教諭をしていた都立小石川中等教育学校では、学識経験者、PTA 会長、 同窓会会長、自治会長、地域の小学校長などが学校評議員をなさっていました。

当時の私は主幹教諭として、現在とは逆に学校評議員の方々にご意見をいただく立場でした。そのため、学校側と評議員側、両方の立場での経験をできるだけ生かせるように努めています。

 

――学校評議員制度の趣旨について教えてください。

学校評議員が制度化されたのは、2000年の4月です。文部科学省では、その趣旨・ねらいについて「学校・家庭・地域が連携協力しながら一体となって子どもの健やかな成長を担っていくため、地域に開かれた学校づくりをより一層推進する観点から、学校に、学校評議員を置くことができることとする」と規定しています。いわば、「開かれた学校づくり」の一環として、設置された経緯があります。なお、「置かねばならない」ではなく、「置くことができる」という規定のため、すべての学校に学校評議員がいるわけではありません。

 

――具体的にどのような仕事をするのでしょうか?

主な仕事は、校長の求めに応じて相談に乗り、自らの立場から助言などをすることです。私の場合、定期的に開催される学校運営連絡協議会に参加し、学校評価の結果に対して学校評議員の立場から意見を述べることなどもしています。

 

P127学校評議員として、多忙な先生方を支えていけるような仕事ができればと話す稲井先生。

――学校評議員の仕事において、何か気を付けていることはありますか?

日々意識しているのは、現場の先生方に厳しい意見をぶつけるだけでは何も生まれないということです。一方的に伝えるのではなく、自由に意見交換をすることで先生方との間に信頼関係が生まれ、学校教育をより良くしていけるのだと考えています。学校という所は「ビルド&ビルド」のため、やることが増える一方でますます忙しくなるばかりです。「スクラップ&ビルド」の発想で事業を精査し、選択と集中を促すように心掛けています。

 

――学校評議員の仕事について、やり甲斐を感じる部分はありますか?

大学教員の使命として、大学の教育や研究の成果を社会に還元することが大切だと考えています。学校評議員として教育現場に携わることで、これまでの経験や知識を社会に還元することができ、その意味でもやり甲斐のある役割だと思っています。

また、学校へ行くと私自身も元気になります。若い先生のパワーが現場に満ち溢れているのを感じるからでしょう。そうしたエネルギーに触れることで刺激を受け、新しい発想が生まれてくることもあります。また、学校と外部をつなぐ窓口として、先生方を元気づけ、そして支えていけるような仕事をしていけたらと考えています。

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