映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「たそがれ清兵衛」

2002年/日本/129分
監督:山田 洋次
キャスト:真田広之,宮沢りえ,田中泯,伊藤未希,橋口恵莉奈,岸惠子,吹越満 他
『たそがれ清兵衛 』 Blu-ray
¥4,700+税 好評発売中
発売元:松竹 販売元:松竹
©2002 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/衛星劇場

 

挫折があろうとも凛として生きたい,と思わせてくれる作品

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

本作は,藤沢周平が著した同名小説を再編した映画です。山田洋次監督の時代劇3部作の第1作目であり,2作目の『隠し剣 鬼の爪』(2004年),3作目の『武士の一分』(2006年)を観る上でも,あるいは藤沢周平の時代小説を嗜む上でも,ぜひご覧いただきたい作品です。元の小説とは少し内容が異なりますが,真田広之や宮沢りえ,田中泯など,力量ある役者が数多く出演し,魅力ある映画に仕上がっています。

舞台は幕末の庄内地方。社会が大きく変わりゆく中で,庶民のささやかな暮らしにもさまざまな影響が生じます。どの時代も,人は生きるため,家族を支えるために,時に理不尽な仕事にも手を染めざるを得ない,そんなことを痛感させられます。

映画は,主人公・井口清兵衛の娘・以登のナレーションで始まります。清兵衛はいわゆる小役人。たそがれ時も,同僚からの酒の誘いを断って自宅へと戻り,家事と内職に勤しむ日々を送っています。認知症の老母と幼い2人の娘を抱え,労咳で亡くした妻の薬代や葬儀代などの返済に追われているためです。そんな彼を人々は「たそがれ清兵衛」と揶揄していました。

ある春の日,親友の飯沼倫之丞と再会した清兵衛は,倫之丞の妹で,清兵衛の幼馴染み・朋江の話を聞きます。朋江は甲田豊太郎のもとへ嫁いだものの,酒乱の甲田からたびたび暴力を振るわれ,それを理由に倫之丞が離縁をさせたとのことでした。その後,家に戻った清兵衛は,訪ねてきていた朋江と再会。思い出話に花を咲かせるうち,幼少期に抱いていた淡い恋心を蘇らせます。

その晩,飯沼家に朋江を送り届けた清兵衛は,思いがけず,酒に酔った甲田と遭遇。行き掛かり上,倫之丞に代わり自分が果し合いの相手をすると宣言します。そして翌朝,清兵衛は,真剣で襲い掛かる甲田を木刀の小太刀1本で倒してしまいます。その噂は城下に広がります。

しばらくの後,藩内に世継ぎを巡る騒動が発生。そんな折,倫之丞は朋江を清兵衛のもとへ嫁がせたいと申し出ます。しかし,清兵衛は自らの身分の低さと貧しさを理由に断ってしまいます。藩の世継ぎが決まり,旧体制を率いてきた藩士への粛清が始まりますが,一刀流の使い手・余吾善右衛門は切腹の命を拒絶し,討手を斬殺して屋敷に立てこもります。甲田を倒した清兵衛の噂を聞いていた藩は,拒む彼に討手の任務を命じます。決闘に出掛ける日の朝,清兵衛は朋江を自宅に呼び,身支度の手伝いを頼み,「果し合いに勝ったら嫁に来てほしい」と秘めた想いを打ち明けます。しかし,清兵衛に縁談を断られた朋江は,既に会津の有力な家中との縁談を受けていました。傷心のまま決闘相手の家に乗り込んだ清兵衛は,憔悴した余吾善右衛門から,思いがけず話しかけられます。

人生は必ずしも思うようにはいかないものです。教師や児童生徒にも挫折や予期せぬ出来事,偶然や運による禍福があります。そうした日々の中でも,常に凛とした姿勢を持ちながら日々を過ごしていくこと,その大切さを教えてくれる作品です。

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