Professional の仕事

第7回 学校・地域コーディネーター 大嶋 正人 さん

教育活動に関わるのは教師だけと思っていませんか?学校は実にさまざまな人たちの支えによって成り立っているのです。「チーム学校」の一員として子供たちの健やかな学びを支える人々に、話を伺いました。

・澤田 憲

P130大嶋 正人(おおしま・まさと)さん
1950年生まれ。東京都杉並区出身。杉並区立方南小学校学校支援本部長(学校・地域コーディネーター)、方南小学校学校運営協議会委員。40代半ばから少年サッカークラブでの指導・運営を行い、20年間子供たちや保護者をサポート。学術専門出版社を定年退職したのを機に、方南小学校支援本部の立ち上げに参加。学校と地域を結び、子供たちの未来を支える諸活動の展開と、教員、保護者、同窓生、地域のネットワークの構築に力を入れて活動している。

 

――学校・地域コーディネーターの仕事内容について教えてください。

学校・地域コーディネーターの役割は、学校と地域の人材を結び付け、子供たちがより豊かで多様な教育を受けられるようにすることです。
2008年度から、「学校支援地域本部(※)」が全国の市区町村に設置されたことに伴い、その中心的な役割を担う存在としてコーディネーターが生まれました。
(※)学校支援地域本部…保護者・地域住民・各種専門家などが、学校支援ボランティアとして学校教育を支える組織

コーディネーターは、地域在住の退職教員やPTA役員の経験者など、地域の実情や教育活動に知見のある方が主に担当しています。私が参加している支援本部には、私の他に3名のコーディネーターがいます。いずれも“団塊の世代”の人で、すでに退職された人たちです。

主な活動内容は、学校側のニーズを吸い上げて、それに適した人材を外部から招くことです。具体的には、キャリア教育の授業に必要なゲストティーチャーを招いたり、職場体験の受け入れ先を探したりします。

もう一つは、教育課程外でのサポートです。例えば、私たちの支援本部では「土曜日学校」や「放課後子ども教室」などを開催し、授業時間以外で子供の学習等を支援しています。「放課後子ども教室」では、学童保育に入れなかった子供たちを、授業終了後から夕方5時まで学校内で預かっています。活動日は、毎週火曜日と木曜日の2日間ですが、現在は1~3年生まで、およそ100人の子供たちが毎週参加しています。最近は、夫婦共働きの家庭が増え、かなりニーズが高まっているのが実状です。

 

――年間を通して、どのようなスケジュールで活動しているのでしょうか?

基本的には、学校の年間行事計画に合わせて、コーディネーターの活動計画を立てています。スケジュール表を全員で共有しているほか、私(代表者)は職員会議にも出席し、先生方と打ち合わせをして活動日や内容を決めています。

コーディネーターは学校内に常駐しているわけではありません。「来週3年生の社会科見学があるから、2人ほど付き添いがほしい」といったように、その時々の要望に合わせてシフトを組んで学校に来るのが一般的です。

 

――大嶋さんがコーディネーターになられた経緯を教えてください。

当初は息子2人が通っていた小学校のサッカークラブのコーチをやっていたんです。私自身、息子たちが通う小学校の卒業生だったこともあり、同時並行で学校の評議員も務めていました。そんな折、5年前に小学校の支援本部を立ち上げることになり、校長から「本部長をやってほしい」と打診があったんです。定年退職の年とちょうど重なったこともあって、チャレンジしてみようと思ったのがきっかけですね。

 

――コーディネーターになるために必要な資格や条件はあるのでしょうか?

資格は必要ありませんが、各教育委員会が実施しているコーディネーター向けの研修会に参加する必要があります。研修会は年に数回あり、1回2時間半程度です。講義では、教育論やコミュニケーションスキル、また子供に対する接し方などをケーススタディを通じて学びます。講義を受けると、認定証をもらえます。コーディネーターを務める上で、学校教育に対する理解が不可欠です。「面白い」だけでは、ただのレクリエーション活動になってしまいます。いかに教育的目的に沿ったユニークな活動を展開できるかが、腕の見せどころですね。

 

――活動する上で、どのようなことを心掛けていますか?

活動プランを立てるときは、常に子供側と学校側の2つのベクトルを意識しています。子供のための活動であることに違いはありませんが、そのために先生方の負担が増えては意味がありません。そのため、日頃から先生方の悩みやストレスの原因などをヒアリングして、信頼関係を築いておくことが大切です。

また、活動を行う上では、地域性を考慮することも重要です。学校や家庭が抱えている事情を無視し、他の地域で上手くいった実践をそのまま取り入れても、たいていは失敗に終わります。子供は、地域で育つものです。だからこそ、それを支援する側も、対人、対学校、対地域で、個別に支援内容を考える視点が必要だと思います。

P131子供たちから親しみを込めて「団長」と呼ばれている大嶋さん。昨夏には農村体験を行い、子供たちと新鮮な野菜を採ってきたそうです。

 

――印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

毎日が発見と喜びの連続ですが、中でも盆踊りともちつき大会の地域行事を復活できたことは嬉しかったですね。2つとも長らく休止していたのですが、5年かけてたくさんの人たちが行事の開催を後押ししてくれるようになり、ようやく実現できました。

これはひとえに“地域力”が育った結果だと思います。地域力とは、一言で言えば「顔見知りが多い」ということです。こういった地域行事を毎年積み重ねることで顔見知りが増えれば、それだけ子供たちを見守る大人の意識も高くなるし、それが地域防犯の向上にもつながるのだと思います。

 

――コーディネーターの醍醐味は、どんなところにあると感じていますか?

やはり子供たちが楽しんでいる姿を間近で見られることですね。学校の教職員以外で、これだけ子供たちと直接触れ合う時間があるのは、コーディネーターくらいではないかと思います。

私がサッカークラブで最初に教えていた子供たちは、今年で30歳になります。もう立派な親の世代で、今はその子供たちが学校に入ってきています。今後コーディネーターとしての活動を続けていくことで、こうやって世代を越えて地域の子供たちを見守り続けることができたら幸せだなと思いますね。

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