『教セミ』連載 | 教師の本棚

『ラチとらいおん』

P131

マレーク・ベロニカ=文・絵 徳永 康元=訳
1965年/福音館書店
¥1,100+税

 

心の中に本当の強さを

柳 志穂(東京都練馬区立大泉西小学校主任教諭)

私は、大人になってからたくさんの絵本を読みました。子供の頃に読んだ絵本もあれば、大人になってから初めて読んだ絵本もあります。絵本の中には、大人になってから読んで心に響く作品も多く、そうした作品の中から、今号では『ラチとらいおん』をご紹介します。

ラチは世界で一番弱虫な男の子。犬も怖いし、暗い部屋に入ることもできません。友達からは仲間外れにされ、いつも一人ぼっちで泣いていました。ラチの友達といえば絵本。そんなラチは、絵本の中の強いライオンに憧れていました。ある朝、目覚めるとラチのすぐ傍に1頭のライオンがいました。ラチが憧れていた強くて大きなライオンとは違い、かわいらしい小さな赤いライオンですが、力持ちでした。ラチはライオンから、強くなるための特訓を受けます。毎朝一緒に体操をしたり、おすもうをとったり、暗い部屋に入る練習をしたり…。小さなライオンをポケットに入れていることで、ラチは日に日に強くなった気がしていました。

そんなある日、ラチはいじめっ子をやっつけます。ライオンがいたおかげで怖くなかったと思っていたのですが、実はその時、すでにライオンはラチのもとからいなくなっていました。心も体も強くなっていたラチは、もうライオンの助けを必要としなくなっていたのです。

人間、誰だって弱さを持っていると私は思います。そんな時、どうやって乗り越えていくのか。それは、人それぞれです。ラチがライオンから勇気をもらったように、私たちも気付かぬうちに、いろいろな場面で前向きになれる強さをもらっているのです。それは、人からであったり自然からであったり音楽からであったりとさまざまです。私たちが過ごしている当たり前の日常には、思い返せば“勇気の源”があふれています。

自分が心の中で何を支えにしているのか、そんなことを考えさせられる素敵な絵本です。

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