映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「素晴らしき哉,人生!」

1946年/アメリカ/130分
監督:フランク・キャプラ
キャスト:ジェームズ・スチュアート/ドナ・リード/ライオネル・バリモア/ヘンリー・トラヴァース 他

 

人のために生きる人生なら、困難の後に幸せがやってくる

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

少し早いですが「12 月号」ということで、クリスマスにふさわしい、そして何かと騒々しく問題山積の日本が、元気になるような作品をご紹介します。

今回ご紹介するのは米国映画。それもかなり古く、米国での公開が1946 年、日本での公開が1954 年という映画です。そう、このタイムララグは第2次世界大戦の影響によるものです。第2次世界大戦が終了したのは、日本がポツダム宣言受諾を連合国側に通告し、昭和天皇が「玉音放送」で国民に語りかけた1945(昭和20)年の8 月15 日。本作はその約1 年後に公開された米国映画のため、戦争前後の米国の生活状況がよく分かります。日独との戦争による物資供給の場面など、戦争の影響も散見されはしますが、当時の米国庶民の生活がいかに日本と比べて豊かであったかがよく分かります。加えて、戦争が経済や資産の乏しい国をますます貧しくすることも痛感します。

そんなことを考えながらこの映画を観ると、最初は時代的な古さに少々退屈しますが、後半“劇的に”主人公の人生が展開し、最後には思わず涙することになります。まさに「アメリカンドリーム」を体現したかのような映画で、「戦後レジームからの脱却」や日米地位協定など、米国との従属関係が話題になる今の時代だからこそ、ぜひ観ておきたい映画です。

「世界に羽ばたく建築家になりたい」との夢を持ちながらも、父の急死で田舎の小さな町にある家業の建築貸付組合(今で言う住宅ローン会社)を継がざるを得なくなった主人公ジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュアート)。冷酷な銀行家ポッター(ライオネル・バリモア)の嫌がらせや圧力にも負けず、「貧しい庶民にも住宅を」という父の理想を具現化させようと真面目に働きます。町の人々にも慕われ、恋人のメリイ(ドナ・リード)と結婚。4人の子供を授かり、事業も好転しつつありました。そんな矢先、会社の運営費8,000 ドルを失い、ポッターに融資を断られた彼は前途に絶望し、クリスマスの晩に自殺を図ろうとします。そこに現れたのが、まだ翼を持たない“二級天使”のクラレンス(ヘンリー・トラヴァース)。クラレンスは、自らの翼を得るためにジョージの命を救いにやって来たのです。

「生まれて来なければよかった」と言うジョージのため、クラレンスはもしジョージが生まれなかったらどうなっていたかを体験させ、いかに素晴らしい人生を歩んでいるかを理解させます。そして、奇跡の瞬間が訪れます。人のために生きる人生なら、困難の後に必ず幸せがやってくる。スピルバーグや黒澤明も絶賛した米国映画で、昨年「クリスマス映画ベスト25」(シネマトゥデイ2014 年12 月17 日)で堂々の1 位となった映画です。教師を目指す人にも、ぜひ観ていただきたい一作です。

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