カリスマ教師の履歴書

file1 飯島彩子先生 (船橋市立高根東小学校)

20代にして“達人”に認定
ピンチのときほど“ドラマ”が生まれる

20代で唯一、千葉県の「授業づくりの達人」に認定された飯島先生。教員としてのキャリアを積み重ねる中で、失敗や問題を“楽しむ”ことの大切さを学んだといいます。その魅力ある授業や学級経営は、どのようにして生み出されるのでしょうか。

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工夫を凝らした仕掛けで“達人”に

「水の量が違うのはどうしてだと思う?」
その日、理科室で行われていたのは、「水の蒸発」に関する授業。飯島先生の質問に、子供たちは、3日前に窓際に置いた2 つのビーカーをじっと見比べて考え込んでいます。
「同じ量を入れたのに、片方だけたくさん減っているのは何か理由があるんじゃないかな?」
しばらくして、ハッと気づいた子供たち。注目したのは、ビーカーを置いた“場所”です。
「そうか!日当たりのいい場所に置いたからだ!」
飯島先生がニコリとうなずくと、子供たちの顔がパッと笑顔になりました。今回の授業の“仕掛け”が見事に決まった瞬間です。
「自分からは答えを教えません。」授業後、飯島先生は授業づくりのポイントをこう語ってくれました。
「子供たちが『なぜ?』と疑問を感じたり、自分で考えたりするための“仕掛け”を毎回の授業に必ず入れるようにしています。『イエスor ノー』と答えるだけでは、自分の言葉で、自分の考えをしっかり伝えられるようにならないからです。」
“表現力の育成”は、教師になった当初から飯島先生が追究し続けてきたテーマです。これまでにも仕事の合間をぬって論文を書いたり、市の研究会に参加して授業提案をしたりといった形で、知見を深めてきました。
その実績が評価され、平成26 年度には千葉県教育委員会から「魅力ある授業づくりの達人(理科)」に認定されました。この年に認定を受けたのはわずか9人で、しかも20 代ではこれまでで初めてとなる快挙です。現在は、船橋市の理科の指導役として、市内で理科の研究に取り組む先生に授業づくりのアドバイスなども行っています。

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人を頼ることの大切さを知った

昔から理科が好きで、好奇心旺盛だったという飯島先生。面白そうなことには何でもチャレンジする行動派だったと子供時代を振り返ります。「特に影響を受けたのは、小学3年生のときに担任だった先生です。
道端に生えているヨモギを摘んできて、皆で団子を作って食べるなどして、とにかく自由でした。その頃から何となく『先生ってステキな仕事だな』って思うようになっていました。」
その後、都内の大学を卒業し、千葉県の小学校教員となった飯島先生ですが、順調なスタートを切ったと思いきや、最初は「とにかくダメダメの先生でした」と言います。
「同じ学校に同期が3人いましたが、その中でも一番よく怒られていました。保護者からも『指導力がない』と言われ、懇談会のたびに悔しくて泣いていましたね。自分の理想に対して、実力がまったく追いついていなかったんです。」
毎朝7時に登校し、帰宅するのは夜の11 時。ときには日付を越える日もあったそうです。肉体的にも精神的にも辛い状況が続く中、飯島先生の中で一つの「疑問」が湧いてきたといいます。
「ベテランの先生は私よりもたくさん仕事があるはずなのに、何で早く帰れるんだろうと思ったんです。よく観察すると、仕事を自分一人で抱え込まず、時には子供たちにも協力してもらいながら授業を進めていたんです。なるほど!と思いました。」
それ以来、飯島先生は何か困ったことがあれば周りの先生に相談をして、アドバイスをもらうようにしました。時には他の先生の授業を積極的に見学し、その先生の発問やそれに対する子供の反応などを片っ端からメモしたこともあったそうです。年齢の近い先生が多かったことも幸いし、何でも話すことで次第に気持ちが軽くなっていったといいます。
「先生だからといって常に完璧である必要はないんですよね。分からないときや苦しいときは『助けて!』と周りを頼れる素直さが必要なんだと思います。」

 

心から楽しむことが信頼関係をつくる

教師という仕事の醍醐味を「子供たちと一緒に、たくさんの感動を体験できるところ」と語る飯島先生。そのためには、まず自分自身が全力で楽しむことが大切だと話します。
「上辺だけ楽しそうにしていてもダメです。子供たちはすぐに見抜きます。だから、褒めるときは照れずに『あなたたちが好き』と愛情表現をしますし、逆に怒るときも真剣です。そうやって信頼関係を築いてい
くことで、子供たちの成長を感じ取れたときは、本当に嬉しいものがあります」
“自らが楽しむ”という教師としてのスタイルは、初任の頃に出会った先輩教師から学んだと飯島先生は話します。当時は教員になったばかりで、子供たちにどう接すればよいかもよく分からない状況だったそうです。
「どうすれば良いのかと悩んでいたときに、その先輩の学級経営を見学させてもらったんです。すると、いきなりクラス全員でババ抜きを始めたり、クリスマスにサンタの格好で現れて“プレゼント”として宿題を渡したりと驚きの連続でした(笑)。でも、『自分が憧れていた学級って、こんな先生がいるクラスだよな』って、そのときに思い出したんです。」
主役はあくまでも子供たち。教師は、主役が輝けるように全力でサポートすればよい。そう考えるようになってから気持ちが楽になり、生き生きと学級経営ができるようになったと飯島先生は言います。
「『ピンチのときこそドラマが生まれる』と先輩の先生が話されていましたが、その通りだと思います。失敗やトラブルがあるから、それを乗り越える過程でさまざまなドラマが生まれて、子供たちも自分も大きく成長できる。だから教師という仕事は、面白いんじゃないでしょうか。」

 

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Profile

飯島彩子

1985 年8 月5 日生
東京都出身

平成20年3月…大学卒業
平成20年4月…千葉県船橋市立法典小学校に赴任
平成25年4月…千葉県船橋市立高根東小学校に異動
平成26年4月… 千葉県教育委員会により「授業づくりの達人」に認定

趣味・特技
夏は登山、冬はスキー。体を動かすのが大好きです!

好きな言葉
「やってみなくちゃわからない」

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