Professional の仕事

第3回 ICTコーディネーター 宮田 千恵さん

教育活動に関わるのは教師だけと思っていませんか?学校は実にさまざまな人たちの支えによって成り立っているのです。「チーム学校」の一員として子供たちの健やかな学びを支える人々に、話を伺いました。

文・黒澤 真紀

 201511P126

宮田 千恵(みやた・ちえ)さん
東京都練馬区出身。大学で中学校と高等学校(国語科)の教員免許を取得。大学卒業後は民間の人材教育コンサルタント会社に13 年間勤務。その後、教育の情報化をサポートする会社に転職し、「フューチャースクール推進事業」の関東地区唯一の実証校である葛飾区立本田小学校の常駐ICT サポートに従事。その後、荒川区より推薦を受け、プロジェクトマネージャーとICT コーディネーターを兼任。各校に派遣されるICT 支援員を取りまとめながら自身も現場に立ち、多方面からサポートしている。

 

―宮田さんはどのようにしてICT コーディネーターになられたのでしょうか。動機と経緯を教えてください。

大学で中学校と高等学校の教員免許を取得し、卒業後は民間の人材教育コンサルタント会社に就職しました。そこでは高等学校や専門学校、大学の学生をはじめ、官公庁や民間企業で働く社会人に対して教育コンサルタントを行っており、やりがいを感じられる仕事ではありましたが、全国を飛び回る多忙な日々でした。そうした毎日を過ごす中で、子育てとの両立など働き方について、いろいろと考えるようになりました。

そして、これまで取り組んできた「教育」の中で、まだ向き合ったことのない小中学生を対象にした教育に携わってみたいと思ったのです。そして、3人の子供の母親として、家庭と仕事のバランスが取れるような働き方にシフトしていきたいと模索する過程で出会ったのが、今の仕事です。教育の情報化をサポートする民間企業に転職し、さまざまな現場を経て葛飾区立本田小学校に、毎日常駐のICT 支援員として従事しました。同校は、総務省が2010 年度にスタートさせた「フューチャースクール推進事業」※ の関東地区唯一の実証校だったんです。このときの経験が買われ、その後荒川区のICT コーディネーター兼プロジェクトマネージャーとして、区全体のサポートに当たるようになりました。

 

―プロジェクトマネージャーとは、どのような仕事なのでしょうか?

私の場合、ICT 支援員を経て、ICT コーディネーターとなり、さらにこれらをまとめるプロジェクトマネージャーとなりました。現在はICT支援員、ICTコーディネーターを指導・統括する立場にありますので、より良い授業のためにICT 活用を「サポートする」という使命を、ICT 支援員、ICT コーディネーターに伝えていく立場です。

 

―ICT 支援員やコーディネーターに必要な資格などはあるのでしょうか。

ICT 支援員を務める人は、ICT 支援員認定や教育情報化コーディネーター、教員免許などの資格を持った人が多いですね。確かに、専門の資格を持っていると採用の一助になるという部分はあります。でも、それ以上に大切なのは、現場に入ったときに先生や児童生徒たちと信頼関係を築けるかどうかです。そのためには資格や専門的技能よりも、コミュニケーションを円滑に取れる能力の方が、より一層求められます。

 

―ICT コーディネーターの具体的な仕事内容について教えてください。

私がプロジェクトマネージャーを務める荒川区では、小中全34 校にWindows 8.1 タブレット端末を導入しており、小1 ~中3 の児童生徒一人一人がタブレット端末を活用した学習活動を行える環境が整えられています。

こうした恵まれた環境の中で、具体的に行っている仕事内容は大きく3つあります。1つ目は、ICT の活用推進です。ICT の普及推進にあたっては、学校それぞれの状況を踏まえた、丁寧な対応が必要です。特に、ICT 支援員からの質問に対しては、翌日の13 時までに全支援員へ回答を共有することをモットーに、迅速かつ柔軟な対応を目指しています。

2つ目は、視察・公開授業・研究発表・教員研修などにおける運用サポートです。こうした機会での失敗は許されないため、トラブルに備えての腹案をいくつも準備しておきます。例えば、いざタブレット端末を使って授業を展開しようとした際、無線のネットワークトラブルで通信障害が発生した場合などは、すぐに対応して進行を妨げないようにしなければなりません。

そして3つ目は、ICT を活用した授業・教材作成のための事例収集と分析です。授業におけるICT の活用は、先生のスキルや経験、考え方によって、イメージが違ってきます。それぞれの先生の思い描く授業ができるように、しっかりと要望等を聞き、コミュニケーションを取りながら、デジタルワークシートの作成サポートなどを行っています。

 

―ICT コーディネーターの1 日のスケジュールは、どのような感じなのでしょうか。

学校に滞在するのは、朝の8時30 分から夕方の6時頃までです。その日によって、仕事内容は異なりますが、まずは先生方の要望をヒアリングするところから1日の業務が始まります。

201511P127
全体を統括するプロジェクトマネージャーとして、教員を対象にレクチャーをする宮田さん。

 

―日々の仕事で、心掛けていることはありますか?

私たちの仕事の中心は「教える」ことではなく、「サポート」することです。授業の主役はあくまで先生と子供たちです。私たちがそこに正面から入って「ここはこうして」と指導するのはダメだよと、支援員には話をしています。

 

―ICT コーディネーターの仕事の魅力は、どのようなところにあると感じていますか?

ICT の活用方法はさまざまで、例えば生徒たちがタブレット端末に書いた内容を、電子黒板に1人ずつ映し出すことなどもできます。そうした活用を通じ、当初は自分のノートを人に見せたがらなかった児童生徒が、「見せるためのノートづくり」に目覚めるようになったときは嬉しいものがありました。児童生徒が隣同士で操作を教え合う姿を目の当たりにすると、とても微笑ましく、成長を感じます。また、以前は「パソコンは苦手だから…」と言っていた先生が、積極的に活用している姿を見たときは、心の中でガッツポーズをしました。

1人1台体制でタブレット端末を用いた授業ができる学校は、全国でも限られています。そんな先進校でICT を活用した授業を縁の下で支え、未来の子供たちに「生きる力」を育んでいける、非常に魅力的な仕事だと感じています。

 

宮田さんのある1 日
8:30 拠点(滞在)校へ入校
先生からその日の要望をヒアリング/前日のICT 支援員からの報告書のチェックとフィードバック/関係各所へのトラブル報告/授業支援/教材作成支援/ ICT 支援員からの業務相談対応(他校でサポート要請が入っている場合は、約束の時間に現場へ)
16:00 先生と授業支援の打ち合わせ/授業提案
17:00 担当ICT 支援員からの電話報告対応
17:30 ~ 18:00 退校

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内